【住宅基礎③】布基礎VSベタ基礎 結局いいのはどっち?~意外と知らない住宅基礎~
ここまで【住宅基礎①】では、布基礎とベタ基礎の特徴について。
【住宅基礎②】では、基礎塗装について解説してきました。
布基礎もベタ基礎も、それぞれにメリットとデメリットがあるため、『結局どっちがいいの?』と迷路に迷い込んでしまわれた方もいらっしゃるのではないかと思います。
今回は、布基礎とベタ基礎では、結局どっちがいいのかについて解説します。
◎コストから考える
一番気になるのは、やはりコスト面ではないでしょうか。
布基礎とベタ基礎では使用する鉄筋やコンクリートといった材料、それを施工する職人の人件費などで比較した場合、使用するコンクリート量の少ない布基礎の方が若干有利になります。
ベタ基礎があまり普及していなかったころ、それまで中心だった布基礎よりも施工費用は高いとされていました。
ですが、ベタ基礎の採用率が上がり、施工会社も経験を積んでベタ基礎施工に慣れてきたことで、その差はそこまで開きがなくなってきている傾向にあるようです。
地域や施工する業者による差はありますが、コストの目安としては、1㎡あたりで布基礎とベタ基礎の施工差額は1,000円程度です。
場合によって思ったほど差がでないこともありますので、複数の業者から見積をとって比較検討すると良いでしょう。
◎工期や工程から考える
布基礎とベタ基礎の基礎工事において、その工期や工程はほぼ同じです。
(1)地盤調査をします
どんなに耐震性に優れた基礎にしたとしても、もともとの地盤が弱いものだと意味がありません。
実際に地盤調査を行い、必要があれば地盤改良工事を行います。
(2)基礎の範囲を決めます
敷地の中でどの範囲に建物を建てるのかが分かるよう、縄やロープで印をつけます。
(3)掘削工事をします
基礎の鉄筋やコンクリートを入れるため、重機や人力で基礎を施工する位置の土を掘削します。
布基礎の場合は基礎の立ち上がり部分を、ベタ基礎の場合は基礎の範囲内全てを掘削していきます。
(4)砕石を入れます
掘削箇所(布基礎の場合は立ち上がり部分、ベタ基礎の場合は全面)に砕石を入れ、地面を固めます。
砕石は高さが均一になるように敷き詰めます。
(5)防湿シートを敷き、捨てコンクリートを流します
砕石で締め固めた上から防湿シートを敷き、捨てコンクリートを流します。
捨てコンクリートとは、敷地のどの位置に、どのような形で基礎になるコンクリートを打つのかというのを示す作業(墨出し)をしやすくするためだったり、基礎を載せる面を良好な状態にするためだったりに流すコンクリートのことです。
土地の状態や作業効率の向上のために必要であれば行う工程ですので、建物の強度に直接影響を及ぼすわけではありません。
(6)基礎をつくります
建物の形状にあわせ、鉄筋を組みます。
その後、基礎の外周に型枠を組み、コンクリートを流し入れ、コンクリートが固まるのを待ちます。
コンクリートが固まったら、型枠は外します。
(7)完成です
不要なコンクリートがあれば除去をして、仕上げをすれば完成です。
◎耐震性から考える
”点”で支える布基礎よりも、”面”で支えるベタ基礎の方が、耐震性に優れています。
しかし布基礎の場合でも、立ち上がり部分の面積を広めにとったり、地盤改良をして強い地盤にしたりするなどによって、耐震性を高めることができます。
耐震性は『建物』、『基礎』、『地盤』の3つがバランスよく揃っていることが重要です。
それぞれを点で見るのではなく、全体で耐震性を高めるという考え方が重要となります。
◎湿気やシロアリ対策から考える
湿気やシロアリ対策では、布基礎よりもベタ基礎の方が優れています。
ですが、ベタ基礎だから一生安心というわけではありません。
安心して暮らすためには、定期的に点検口からの確認をすると良いです。
その場合最低でも、布基礎の場合は2~3年おきに、ベタ基礎の場合は10年おきに点検を行いましょう。
◎住んでいる地域から考える
頻繁に気温が0度井がになるような寒冷地では、一定の深さまで地面が凍結します。
地面が凍結すると、地面は膨張し、基礎を押し上げてしまいます。
そのため寒冷地では行政によって『凍結深度』というものが設けられていて、決められた深度よりも深い位置に基礎を設置しなくてはいけません。
掘削することで発生した残土は処理しなくてはいけませんが、その処理費用の目安は1㎡あたり3~5万円程度です。
残土量が増えれば、処理費用も高くなってしまいますので、コストパフォーマンスで考えると布基礎の方が良い場合もあります。
◎まとめ
総合してみると布基礎よりもベタ基礎の方がメリットが多いという印象を受けますね。
予算やお住まいの地域に問題がなければ、ベタ基礎の方がオススメです。
ですが、耐震性やシロアリ対策などについて、ベタ基礎の方が有利であっても、適切な対策をすることで、布基礎でも十分安全性を高めることができます。
予算、お住まいの地域、依頼する業者の得手不得手など、様々な角度から検討するようにしましょう。
次回は住宅基礎のひび割れ補修について解説します。
次の記事へ
大和市屋根工事の工事点検 »