塗装や屋根で使われる【漆喰】について徹底解説⑦ ~職人技編~
「漆喰の壁」というと、真っ白で均一な厚みがあるイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
塗り方によって「漆喰壁」の質感や見た目は全く違います。
今回は「漆喰」のいろいろな仕上げパターン、要は職人技を紹介します。
日本の漆喰「和漆喰」についてはこちら↓
塗装や屋根で使われる【漆喰】について徹底解説② ~「和漆喰」とは~
「漆喰壁」の塗り方バリエーション
「漆喰壁」は世界に一つしかない表情を楽しむことができ、仕上げのバリエーションがいろいろあるのも魅力の一つです。
①コテ波仕上げ
コテで塗った跡を残す仕上げ方法で、残った跡が波のように見えるのが特長です。
跡の残し方によって「漆喰」が違った表情になります。
「漆喰」の塗り方の中では最も標準的な方法です。
敢えて壁に強い個性を持たせたくない場合には、コテ仕上げを選ぶのが無難といえます。
②扇仕上げ
コテを使い、跡が扇模様になるように塗っていく方法です。
コテ波仕上げよりも均一の模様を描くようにするとキレイに仕上がるでしょう。
「漆喰」で仕上げたいものの、少しだけ模様で個性を付けたい場所におすすめです。
和室や和風の壁によく合います。
③コテバケ仕上げ
ハンコのようにコテを押し当ててパターンを描いていく方法です。
使う道具や押し当てる場所・角度などにより多彩な表現ができます。
やや個性的な模様、陰影が現れる漆喰の塗り方で、リビングなどに塗れば、格調の高い雰囲気となります。
④ローラー仕上げ
ペンキを塗るようなスポンジローラーやゴムローラーを使う方法です。
自然な雰囲気に仕上げたい方にお勧めの塗り方です。
ツルツルした壁とは違い、自然で奥行きのある仕上がりになります。
➄スパニッシュ仕上げ
海外の城壁を思わせる不規則なエッジを利かせたパターンです。
なかなかの技術が必要なので、DIYでは難しいです。
ランダムに表現されるラインが、壁全体に個性やこだわりを表現します。
人に見せる部屋、たとえばリビングや客間に合っています。
「西洋の漆喰」についてはこちら↓
塗装や屋根で使われる【漆喰】について徹底解説③ ~「西洋漆喰」とは~
⑥スタッコ調仕上げ
西洋のお城の壁のような岩感のある模様をつける方法です。
熟練の技術が必要ですが、手作り感も出しやすいパターンです。
屋内でも良いのですが、むしろ屋外の外壁に適した仕上がりになります。
モルタルを使用したスタッコ調の外壁もよく見かけます。
「西洋の漆喰」についてはこちら↓
塗装や屋根で使われる【漆喰】について徹底解説③ ~「西洋漆喰」とは~
⑦マーブル仕上げ
2色の「漆喰」を混ぜながら塗っていく方法です。
高級感のある雰囲気に仕上げられます。
しかし、セルフで行わず、難易度が高いので職人さんにお願いしましょう。
物の少ないやや寂しげな場所、たとえば廊下などに合った仕上げ方です。
サニタリースペースに採用される事例も時々見られます。
⑧コテ絵
今まで紹介してきた仕上げの工法とは違いますが、コテ絵とは左官職人が壁を塗るコテで絵を描いたもので、「漆喰装飾」の一技法です。
高松塚古墳、法隆寺の金堂の壁画などにも、コテ絵が施されています。
非常に歴史の古い伝統的な技術ですが、現代建築の壁や、レリーフへの応用など、新旧合わさった装飾技術の一つとして、重宝されています。
職人技といえば、5年半かけ平成の大修理を終えた姫路城をご存知でしょうか?
姫路城の外壁は「漆喰」で塗られています。
姫路城でも「漆喰外壁」が使用されています
公開したときに真っ白な城になっていて驚いた人も多いのではないでしょうか。
この外壁に塗られているのがまさに「漆喰」です。
姫路城の白さは、時代を経た知恵と、職人技の賜物といえます。
奈良の法隆寺と並び、日本で初めて世界文化遺産をなった姫路城は、しらさぎが羽を広げたような優美な姿から、別名「白鷺(しらさぎ)城」とも呼ばれています。
お化粧直しされた白塗り姿は、見事な威容です。
しかし中には、天守のあまりの白さに、「しろすぎ城」と呼ぶ人もいるほど・・・・。
いったい何故、姫路城はこれほど白いのでしょうか。
この白さの秘密は・・・
白さの秘密は外壁に塗られた「漆喰」の成分の石灰にあります。
今回用いられた「漆喰」は、海藻を煮て植物繊維と混ぜたものと石灰を合わせた、すべて手作りの天然素材です。
そんな姫路城、「外壁の漆喰」はなんと厚みが3センチあるそうです。
(ちなみに普通の「漆喰外壁」は3ミリ程度)
姫路城と同じく国宝の天守をもつ彦根城、犬山城、松本城では、雨風対策として、壁に黒い板を貼り炭や漆を塗っています。
ですが、姫路城では、板を張った形跡がありません。
この理由は、蔵に塗られる「漆喰」と同じく防火・耐火目的とも、威厳を保つためとも言われています。
「漆喰の原料」についてはこちら↓
塗装や屋根で使われる【漆喰】について徹底解説① ~原料と歴史~
◎ まとめ ◎
数回に渡って「漆喰」について紹介してきましたが、今回は漆喰壁のバリエーション、職人技について解説しました。
「漆喰壁」の様々な模様、熟練の職人技を感じられますね。
現在は、凹凸感溢れるヨーロッパ調の仕上げや、コテの跡を残したラフな仕上げも好まれています。
そして、あまりオススメできませんが、自分のお家の壁を自分で塗るという方も増えてきています。
「漆喰」はあなただけのオリジナルの壁をつくることができる壁材です。
御覧いただきありがとうございました。
「漆喰壁のメリット」についてはこちら↓
塗装や屋根で使われる【漆喰】について徹底解説④ ~「漆喰壁」のメリット~
「漆喰壁のデメリット」についてはこちら↓
塗装や屋根で使われる【漆喰】について徹底解説➄ ~「漆喰壁」のデメリット~
「漆喰壁のメンテナンス」についてはこちら↓