【瓦棒葺き】瓦棒葺き屋根とは?デメリットとメンテナンスについて徹底解説!~屋根リフォーム~
瓦棒葺きとは、トタンをはじめとした金属性の板を、屋根の頂点から軒先へ縦に並べた棒(瓦棒と呼ばれるもの)に取り付けていく工法のことです。
昔の瓦棒葺きにはトタンが多く使われていたため、まとめてトタン屋根と呼ばれることもありました。
この工法のメリットは、雨漏りに強く、傾斜が緩やかな勾配(こうばい)でも設置できること。
メイン材料に金属板を使用することで隙間を減らし、水はけが良いのが特徴です。
また施工方法が簡単なので費用面も安く抑えることができ、広大な施設の屋根から住宅に至るまで様々なシーンで使用されている工法です。
ですが、この瓦棒葺きの工法はメリットだけではありません。
もちろんデメリットも存在します。
今回は瓦棒葺き屋根のデメリット、メンテナンスについて解説いたします。
瓦棒葺き屋根の特徴とメリットについてはこちら↓
【屋根リフォーム】瓦棒葺き屋根とは?特徴とメリットについて徹底解説!
瓦棒葺きのデメリット
①サビが発生しやすい
塗装が劣化したり傷がついて剥がれたりすると、サビが発生します。
サビたことに気づかないまま放置していると穴が空き、雨漏れの原因になります。
②断熱性が低い
金属であるため熱を通しやすく断熱性が低いです。
夏場は暑さを、冬場は寒さをそのままダイレクトに伝えてしまいます。
あわせて断熱材の施工が必須といえるでしょう。
③固定する木が腐食する
瓦棒葺きはトタンを芯木に釘で打って固定していきますので、その芯木がダメになってしまうと強度が保てません。
メリットで解説しましたが、瓦棒葺きは雨が流れやすい構造になっており、その反面、瓦棒の下にある垂木が雨水を吸水しやすくなっています。
経年や軒先からの水の吸い上げで腐食すると釘の部分が弱くなり、野地板などが強風で外れてしまう危険性もあります。
④遮音性が低い
外の音が通りやすくて、雨が屋根を打ちつけると雨音が室内に響き渡るほど大きな音になることがあります。
古い体育館などでは金属板の屋根が使われていることが多いため、耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
棒葺き屋根は年々減ってきています
戦後から多くの建物で利用されてきた瓦棒葺き屋根ですが、現在では減少傾向にあるようです。
減少の理由は、新しい工法が開発されたからです。
これまでの工法では芯木が腐食すると機能しなくなるという弱点がありました。
しかしその弱点を克服する工法が開発されたのです。
それは、立平葺き(たてひらぶき)工法です。
瓦棒葺きと立平葺きの違い
瓦棒葺きは、瓦棒が雨漏りを吸収することで、屋根の劣化を起こしやすいという事が分かりました。
そのため、瓦棒葺きと似た工法の立平葺きのほうが現在は人気です。
立平葺きには、瓦棒葺きの最大の特徴である「瓦棒」を使用しません。
木材を使用することなく、金属同士をかみ合わせだけで屋根を固定していきます。
雨水で腐食してしまう木材を初めから使用していないため、瓦棒葺きの弱点を克服できたということです。
また、平面に近い屋根ですので、太陽光発電のためのソーラーパネルを設置するのにも向いています。
立平葺きのメリットは、通常屋根工事と違い、屋根板を張り合わせるだけの作業で施工できるということです。
立平葺きは板金工場で一定のサイズに加工したものを運ぶだけで済みます。
ですが、屋根工事の時には、加工済みの一枚板を運搬することになりますので大型トラックが必要です。
狭い路地などでは大型トラックが駐車できなければ、運搬が難しいなどのデメリットもあります。
↑立平葺き屋根
瓦棒葺きのメンテナンス時期とは?
瓦棒葺きは、垂木や心木が木材のため、雨水を吸収しやすくなっています。
そのため、屋根材がめくれあがったり、垂れさがってきたら修理が必要となってきます。
屋根の様子を定期的にチェックして、屋根材がずれてないかなどチェックしてみると良いでしょう。
また、トタン屋根は亜鉛鉄板のため、雨や日差しで劣化します。
サビがひどくなると穴が空いて雨漏りの原因となるので、屋根材が錆びてきたら修理を検討してみましょう。
また、以下のような症状がみられた場合も注意が必要です。
■色あせ(変色)したとき
瓦棒葺き屋根は表面塗装が色あせしてきたらメンテナンスが必要です。
塗装の劣化が進み、放置しておくと、鉄板部分にサビが発生し、雨漏りの原因になります。
■チョーキングしているとき
手で触ると白い粉が付着する場合があります。
これを「チョーキング」といいます。
紫外線や雨・風といった自然環境が原因です。
この状態は、塗膜が壊れ塗料がむき出しになっている状態です。
早めにメンテナンスをおこないましょう。
メンテナンス方法
①塗装する
トタン屋根は定期的に塗装することで耐用年数を長くできます。
その効果は塗膜の劣化や剥がれを防ぐだけではなく、サビの早期発見や防止にもつながります。
穴が空いてしまうと塗装では対応ができないため、定期的な塗装による防止策が有効といえます。
②カバー工法
カバー工法は、新しい屋根材を上からかぶせる工法です。
そのため、古い屋根材の撤去が必要ないので、費用を抑えることができます。
ですが、錆びたままの屋根材の上にそのまま新しい屋根材を乗せてしまうと、屋根材の錆びは侵食してしまうので、念入りに錆びを撤去した後、塗装作業を行います。
そこで新しい屋根材として選ばれるのはガルバリウム鋼板です。
③葺き替え
劣化が激しい場合には葺き替えが必要です。
トタン屋根で設計された建物は、その重量で構造が計算されていることが多いため基本は屋根材を変えることができません。
したがって葺き替えの場合も使用する屋根材は、トタンもしくはガルバリウム鋼板といった金属屋根になります。
現在は、トタンより性能が良いガルバリウム鋼板が、トタンと同じくらい安価なので、葺き替えの際にガルバリウム鋼板で施工する人がほとんどです。
屋根の構造にもよりますが、瓦棒葺き屋根から立平葺きに変更することもできます。
メンテナンスが必要かどうかよく分からなければ、業者に相談してみましょう。
◎ まとめ ◎
瓦棒葺き工法は、昨今減少傾向にはありますが一般住宅や大規模な施設でも多く使われている工法です。
もし屋根が瓦葺き工法である場合には、定期的なメンテナンスをすることで耐久年数を伸ばすことができます。
傷みや劣化が激しく修繕が必要な場合は、トタンからガルバリウム鋼板などへの屋根材変更や、立平葺きへの変更も検討してみるのも良さそうですね。