相見積もりの金額を他社に教えるのはOK?注意点やマナーを確認!
相見積もりの金額を他社に教えるのはOK?注意点やマナーを確認!
住宅の工事などは金額が高くなることもあるので、さまざまな業者の見積もりを比較して決めたいという人も少なくありません。
相見積もりを行う人は多くいますが、他社に金額を教えてもよいのでしょうか?
今回は、相見積もりの金額を他社に教えてもよいかどうかに加え、教える場合の注意点、相見積もりを行う際のマナーなどを解説します。
相見積もりの金額を教えるのは違法?
相見積もりとは、複数の業者に同じ内容の見積もりを依頼することです。
住宅のさまざまな工事はもちろん、引っ越しの際にも相見積もりをする人は多くいます。
相見積もりは、単に価格を比較するだけでなく、同じ条件を提示した場合のサービス内容や業者の対応など、さまざまな視点から業者を決定するために役立ちます。
相見積もり自体は一般的に行われているので問題ありませんが、その金額を他社に教えてもよいのでしょうか。
実は、相見積もりで提示された金額を他社に伝えるケースは多くあります。
「受け取った情報を他社に渡すのは違法なのでは?」と思われるかもしれませんが、金額を伝える場合はもちろん、見積り書を見せることも、違法にはなりません。
ただし、見積り書をそのまま他社に見せてしまうと、次項で説明するようなトラブルが起こる可能性もあるため、注意が必要です。
見積書をそのまま見せてしまうとどうなる?
相見積もりの金額を他社に教えること自体はよくあり、もし見積書をそのまま見せても違法にはなりません。
しかし、受け取った見積書をそのまま見せてしまうと、以下のような問題が発生することがあります。
- 業者の情報を知られてしまう
- 営業活動が不利になることがある
- 他社の金額に合わせられる可能性がある
業者の情報を知られてしまう
見積書には、施工面積や施工単価、業者名や担当者の名前など、さまざまな情報が記載されています。
工事内容は同条件ですし、金額部分も比較のために見せても問題ありませんが、他の業者に知られたくない情報まで伝わってしまうのは、あまりよいことではありません。
特に、昨今は個人情報の取り扱いが厳しくなっているので、こうした観点からも個人名が記載されている見積書をそのまま他社に見せるのは避けることをおすすめします。
営業活動が不利になることがある
見積書をそのまま見せてしまうと、業者の営業活動に影響する可能性があります。
建築業は、対応エリアがある程度決まっており、相見積もりする業者も限られています。
業者や担当者の名前、施工単価などが他社に知られてしまうと、「○○という会社は施工単価が高い」「○○で働いている△△という人が担当になると…」など、不利益な情報がどこからか流出することもあるかもしれません。
他社の金額に合わせられる可能性がある
相見積もりをすると、相場より高い・安い、最も安く請け負ってくれるのはどこかなどがわかりますが、他社の見積書を見せることで、金額を合わせられることもあります。
たとえば、本来なら自社で100万円でできる施工をある会社が150万円としていた場合、その見積書を見た業者も150万円に合わせてくるかもしれません。
また、150万円よりも少し安い額を提示し、「○○社は150万円ですが、うちなら130万円でできますよ」などと持ちかけられる可能性もあるため、注意が必要です。
相見積もりの金額を教える場合のポイント
相見積もりの際に、もし他社の金額を教えるようなシチュエーションになった場合も、教えたくなければ無理に伝える必要はありません。
しかし、より安い価格で施工してもらえる可能性もゼロではないので、金額を教える際には以下のポイントに注意しましょう。
- 金額は口頭でのみ伝える
- 詳細を求められたら別の紙に書き写す
- やむを得ず見積書を見せるときは情報を隠す
金額は口頭でのみ伝える
他社の見積額を教えるのに、わざわざ見積書を見せる必要はありません。
金額のみを口頭で伝えれば、施工単価をはじめとした業者の持つ情報を流出せずに済みます。
詳細を求められたら別の紙に書き写す
口頭で伝える場合は合計金額のみになってしまうことが多いので、業者から詳細を求められることもあります。
もし施工内容ごとの金額などを求められたら、各工事名と金額のみを別の紙に書き写し、そのメモを見せましょう。
やむを得ず見積書を見せるときは情報を隠す
相見積もりの際には、事前に他社の見積書のメモを作成しておくのがおすすめですが、やむを得ず見積書をそのまま見せることもあるかもしれません。
見積書を見せる場合は、必要な情報のみが見えるように折りたたむ、付箋などで重要な情報を隠すなどして、業者名や担当者、施工単価などの情報を隠しましょう。
相見積もりを行う場合のマナー
相見積もりで提示された金額を他社に教えるのは法律やマナーに反する行為ではありませんが、見積もりを伝える際には、前述のような注意が必要です。
また、相見積もりを行う際にはほかにも覚えておきたいマナーがあります。
- 相見積もりである旨を伝える
- 他社の情報は出さない
- 前提条件は統一させる
- 予算・期限などの情報は可能な限り明らかにする
- 何度も交渉するのはNG
1つずつ詳しく解説します。
相見積もりである旨を伝える
見積書を作成してもらう前には、相見積もりであることを伝えましょう。
いいにくいと感じるかもしれませんが、伝えることで可能な限りよい条件を出してくれる可能性は高まります。
「相見積もりである」と話すと対応が悪くなる業者も少なからず存在しますが、どういった状況でもよりよいサービスを提供してくれるかといったことを見極めるポイントにもなるのではないでしょうか。
他社の詳しい情報は出さない
相見積もりであることは伝えても、どの会社と比較・検討しているかは伝えないのがマナーです。
また、前述の通り金額を教えるのは問題ありませんが、詳細な見積書を見せるのも、さまざまな理由から避けたほうがよいでしょう。
前提条件は統一させる
提示する条件が同じでなければ、相見積もりの意味がありません。
「予算100万円で、~と△△の工事をしたい」といわれた会社と、「予算150万円で~と△△、できれば○○も工事したい」と条件提示された会社では、見積書の内容は大きく変わってきます。
依頼する側も、どちらがお得かなどが判断しにくくなってしまうので、相見積もりの前に条件を固めておくことが大切です。
予算・期限などの情報は可能な限り明らかにする
工事にかけられる予算やいつまでに完了させたいかなども、できる限り明らかにして見積書を作成する際に伝えましょう。
同じ施工内容でも、希望の期限が早いと費用が高くなることもあります。
相見積もりを行う場合は、「予算はこれぐらい、どこをどのように工事したい、いつまでに完了させたい」といった具体的な希望を明らかにすると、業者も見積もりを出しやすいです。
何度も交渉するのはNG
相見積もりで得た金額を他社に教えるのは悪いことではありませんが、見積書を使って何度も他社に交渉するのはマナー違反です。
対応エリアが限られる建築業は、業者同士での交流があるケースも少なくありません。
ある会社の見積書を利用して、他社に何度も交渉しているのが伝わってしまう可能性もあり、「重要な情報を流出させた」「損害を被った」とみなされることもあるので、注意しましょう。
相見積もり後に断りの連絡は必要?
相見積もりで複数の業者を比較しても、最終的に依頼できるのは1社です。
せっかく見積書を作成してもらっても、その他の業者には依頼できませんが、この場合断りの連絡をしたほうがよいのでしょうか。
連絡はしたほうがよい
結論からいいますと、断りの連絡は入れたほうがよいです。
業者も仕事とはいえ、時間を割いて話を聞き見積書を作成していますし、特に担当者は依頼をもらえるか気になっています。
場合によっては業者のほうから「その後、いかがですか?」と何度も連絡がくることもあるので、施工業者を決めたら、その他の業者には早めに断りの連絡をしましょう。
なぜ断るか、理由を伝える
相見積もりをする旨を伝えている以上、適当な理由では断れません。
「他社と検討しましたが」と、率直に断りの理由を伝えることも大切です。
「他社のほうが予算内でできることが多かった」「工期が要望通りのところがあったので」など、より具体的な理由を説明するのもよいでしょう。
ただし、どこの業者に決めたかや、「御社は高い」などマイナスな印象になるような言い方は、避けたほうが無難です。
相見積もりへのお礼も忘れずに
断りの連絡の際には、「今回は相見積もりに対応してもらって、ありがとうございました」など、お礼の言葉を添えると担当者も喜ぶでしょう。
結果としては他の業者を選ぶことになりますが、見積書の作成などでお客様の役に立てたと感じられます。
相見積もりの金額を教える際は、情報の取り扱いに注意を!
施工業者を選ぶ際には、相見積もりをする人は多いといえます。
相見積もりで得た他社の金額を教えるのはNGではありませんが、業者や担当者の名前をはじめ、他社に漏れると不利益につながりかねない情報もあるので、注意が必要です。
また、相見積もりの金額を教えることで「より安く」と勉強する業者も少なくありませんが、なかには安く施工できるのに、金額を合わせてくる業者もあります。
金額を教える前にはリスクや注意点を理解することも、忘れてはいけません。
さらに、相見積もりの際のマナーを知っておくことも重要です。
高額な出費も伴う施工は事前の比較・検討が欠かせませんが、マナーを守って気持ちよく施工してもらいましょう。