【外壁ひび割れ】外壁のひび割れクラックについて徹底解説!!
外壁の天敵|ひび割れクラックを徹底解説します
そろそろ外壁塗装の時期かしらと、ご自宅の外壁を見ると、そこには大小のひび割れが。
『このひび割れは放っておいても大丈夫?それとも急いで補修が必要?』
分からない上に不安な気持ちばかりが膨らんでしまい、気が付けば時間が経過していたというケースもあります。
ご自宅に発生したひび割れの程度がどれくらいのものなのか、どれくらいの猶予があるのか等が分かれば、すべき事がおのずと見えてきて、気持ち的な余裕も生まれますよね。
今回はひび割れについて、徹底解説します。
◎外壁の素材別から見るひび割れ
ご自宅の外壁の材質(外壁材)は何ですか?
『ひび割れ』と言っても、その内容や補修のタイミングなど、外壁の種類によって変わってくるため、対処法にも違いが出てきます。
ここでは住宅外壁の殆どを占めているモルタル、サイディング、タイル、コンクリートの4種類に関してご紹介します。
ご自宅の外壁材は何で出来ているのかを頭に入れ、照らし合わせてみてください。
①モルタル
どんな形状の建物でも柔軟に対応ができ、好みに合わせた仕上がりにすることが出来るモルタルは、建物の表情をとても豊かにしてくれます。
しかし、ひび割れが発生する外壁の多くが、モルタル外壁です。
築年数が経過すると、どうしてもひび割れを起こしてしまうというデメリットがあり、お困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
外壁塗装や補修といったメンテナンスの適正時期を過ぎたモルタル外壁では、多くのひび割れが発見されます。
モルタルの外壁は、サイディングやタイルと比べて目地が無いため、外壁材の下地材によって、地震や日常的に建物に掛かっている負荷を逃がす必要があります。
モルタル仕上げの外壁では、『ひび割れを無くす』ということは非常に難しく、ほぼ不可能と言っても良いでしょう。
比較的ひび割れが発生しやすいため、適正なメンテナンスを施すことで、ひび割れと付き合って行かなくてはなりません。
a)モルタルの主成分は『セメント』、『砂』、『水』
モルタルはセメント、砂(細骨材)、水を練り混ぜた材料で外壁仕上げを行います。
セメントが含まれているために、非常に丈夫なイメージを持たれるかもしれませんが、モルタルそのものの防水性能は低いです。
モルタル外壁の表面に塗装をすることで、その防水性能を持たせています。
モルタル外壁表面に施されている塗装の劣化が進むと、徐々に水分や湿気を吸収し、他の劣化症状も引き起こします。
b)モルタルは『水』が大敵
モルタルに限ったことではなく、建物にとって『水』は大敵です。
建物はあらゆる角度から、紫外線や雨など、日々自然環境の影響を受け続けています。
外壁は雨によって水分を吸収し、太陽の光や熱によって乾燥します。
乾燥する時に収縮が起き、ひび割れが発生します。
そのひび割れ部分から更に水が浸入し、乾燥時にひび割れが発生する・・・このような負の連鎖が起きます。
また、建物内部の柱や断熱材などに水が溜まり、そこから腐食してしまうということもあります。
重度の場合は、雨漏りの発生に繋がります。
c)対処法
0.3mm未満のひび割れの場合でしたら、フィラーと呼ばれる塗料で埋めます。
フィラーとは、下地の凹凸を調整する際に使用する下塗り塗料の一種です。
主にクラックの補修や段差がある下地を平らにならす為に使用されます。
②サイディング
住宅用建材使用状況調査の調査結果によると、日本で使用されている外装材のうち、79%がサイディングです。
その中でも特に人気が高いのが、窯業系サイディングです。
窯業系サイディングの特長は、バリエーションが多くおしゃれな外観を演出できるため、コストパフォーマンスが良いという点です。
一方デメリットとして挙げられるのが、吸水性が高いという点と、ボードそのものやシーリングにひび割れが入りやすい素材であるという点です。
窯業系サイディングの持つ防水機能は低く、防水機能を持たせるために表面に塗装してあります。
表面の塗膜が劣化すると、雨水などの浸入が起こりやすく、夏の暑さや冬場の凍結などにより収縮と膨張を繰り返すため、ひびわれを起こす危険性が発生するのです。
また、サイディング同士をつなぐシーリングも劣化が進むと、変形やひび割れを起こし、そこから雨水が浸入してしまいます。
サイディング外壁や窯業系サイディング外壁のお家にお住まいの方は、『ふと気付いたらひび割れがたくさん発生していた』ということもあるかもしれません。
a)サイディングの劣化を放置するとどうなるのか
サイディングの劣化を放置し続けると、サイディングそのものを取り替えなくてはいけません。
サイディングのみの取り替えだったらまだしも、ひび割れからサイディングに雨水が浸透すると、下地材が腐食します。
下地材の腐食が進むと、構造体まで浸透し、シロアリ発生の危険度がぐっと高くなります。
シロアリの棲家となった建物は、地震等に対する耐性の低い建物になってしまう危険性があります。
また、雨水の浸入による湿気でカビが発生しやすい環境となり、そこで暮らす人へ健康被害を及ぼしてしまう場合もあります。
サイディングのひび割れは滅多に発生することはありませんが、地震や地盤沈下などが原因となり、ひび割れが発生することがあります。
b)補修が必要なひび割れ
サイディング外壁のひび割れは、ボード本体の場合とシーリングの場合の2通りあります。
ボード本体のひび割れは、表面の塗膜が劣化すると雨水が浸入しやすくなり、夏場の暑さや冬場の寒さによって収縮と膨張を繰り返し発生します。
またサイディングボードの端には釘が打たれていますので、釘周辺のボードにひび割れが発生してしまうケースも、多く見られます。
釘周辺のひび割れはサイディングがもろくなってしまうため、雨水の浸入を簡単に許してしまうことになります。
シーリングは、サイディング外壁の中で、最も早く劣化がスタートする箇所になります。
シーリングのひび割れや剥がれといった劣化症状がある場合は、シーリング剤の打ち替えなどの補修が必要となります。
c)対処法
ひび割れが発生している箇所によってボードそのものを取り替えたり、劣化した既存のシーリング剤を全て撤去し、新しいシーリング剤を打設したりと、その対処法は違います。
いずれも簡単そうに見えるかもしれませんが、高い技術が必要となりますので、業者に依頼するのが間違いありません。
③タイル
タイルは様々な風合いや色彩、形や材質感などバリエーションや表現の幅が非常に広いため、近年人気が高まっている外壁材のひとつです。
外壁材としてだけではなく、玄関床や浴室、室内の柱などの内壁にも多く使用されています。
その種類は、素地の種類や成型方法、焼成方法、釉薬の有無などを変更することで、多種多様に作ることが出来るため、外壁タイル、内装タイル、床タイル、モザイクタイルなど、用途によって分けられています。
外壁に使用されるタイルは強度が高く、吸水率が低いため、耐候性・耐久性に優れているという特長があり、そのため、磁器質やせっ器質のものがよく用いられています。
形状も正方形や長方形、表面に凹凸があるものなど、メーカーによって様々で、重さもそれに比例しているため、重いものだと1つのタイルで2~3kgのものもあります。
特長ばかりに目が行きやすいタイルですが、ひとつひとつが独立しているため、部分的な剥がれや浮きといった不具合を引き起こしてしまうということもあります。
外壁タイルの場合ですと、欠損だけではなく、その破片によって周囲の物や人に対して被害を加えてしまう『2次被害』が発生する可能性があるため、不具合の大小や数に関係なく、原因をしっかりと突き止めることが重要です。
a)タイル不具合の原因と二次被害
他の外壁材と比べて耐用年数が長い印象のあるタイルは、『メンテナンス不要』と思われている方が多いのですが、実際はそうではありません。
外壁に使用されるタイルの耐用年数はおよそ10~15年程度と言われていますが、それも建物の立地条件や周辺の環境によって長くなったり、短くなったりします。
通常使用されることの多いモルタルやサイディングは、定期的な塗装でメンテナンスが必要となりますが、タイルには塗装は必要ありませんおで、定期的な塗り替えのメンテナンスをする必要はありません。
しかし、必ず劣化はします。
外壁タイルの劣化症状としては、ひび割れや滑落、部分的な爆裂などが挙げられます。
そこから考えられる次の恐ろしい事態は、タイルはひとつひとつが独立しているため、劣化すればひとつずつ取れてしまうという、2次被害です。
もし剥離や滑落したタイルのかけらが、周辺の物や人を傷付けてしまった場合は、そこで暮らしている方や区分所有者が加害者となってしまいます。
剥離したタイルが通行人に当たり、死亡事故になったというケースも報告されています。
b)タイル欠落の原因
タイル欠落の原因は、表面温度の変化によって起こる収縮・膨張の繰り返しと、タイルの重さにより欠損や欠落、浮きなどの不具合が発生すると考えられています。
その他にも、タイルの圧着不足やタイル裏に不純物が付着している場合といった施工上の問題もある場合があります。
外壁タイルに不具合が生じた場合は、他の箇所でも同じような症状が発生している可能性が高いため、その不具合が生じた原因を調べる必要があります。
なぜなら、最低四方は同じ影響を受けていたり、その欠落した1つにつられて落ちたりする可能性が極めて高いからです。
c)対処法
タイルは、タイル本体やタイル同士の間にある目地に、ひび割れが起きる可能性があります。
ひび割れを放置しておくと、そこから雨水が浸入し、雨漏りに繋がる恐れがあるため、早めの対処、正しい対処が必要です。
タイルに大きなひび割れや欠損が起きている場合は、欠損しているタイルを取り外し、新しいタイルを貼り付けます。
目地にひび割れが発生している場合は、エポキシ樹脂で割れ目を塞ぎ、壁面に馴染ませるようにモルタルで平らに仕上げ、最後に補修した箇所が壁面と同じ色になるよう塗装をします。
近年のタイルは、これまでのタイルと比べて、ひび割れや剥離といった症状は滅多に発生しなくなりました。
しかし、築年数の経過している建物では、かなり高い確率でひび割れが確認できます。
また現在インターネット上で、建物の内外を問わず、タイル補修の方法が多く掲載されていたり、補修に使用する材料もホームセンターなどで簡単に入手したりすることが可能な時代になりました。
そのためDIYで補修をされる方も少なくありません。
しかし外壁に使用されるタイルについては、DIYで補修を行うには難しい箇所になりますので、業者へ依頼されることをおすすめします。
④コンクリート
住宅街でコンクリート打ちっぱなしの建物を見掛けることが、増えて来たように感じます。
コンクリートの表面に塗装を施さず、地肌が出ているコンクリート打ちっぱなしの建物は、木造住宅と比べて開放的な空間を創ることが出来たり、幅広いデザイン性を持っていたりということで、人気を集めています。
その一方で、コンクリート打ちっぱなし外壁は、ひび割れや雨染みなどが目立ちやすい外壁でもあります。
そこで重要となるのが、細やかな塗装でのメンテナンスになります。
定期的な補修を行うことで、美しい外壁の維持ができるのです。
a)ひび割れの原因
コンクリート外壁に於けるひび割れは、打設後の乾燥・収縮によって生じるひび割れや、外部からの建築物の重量や、地震による荷重を受けることで生じる場合が多くなります。
またそれ以外にも、周辺を通る電車や車の振動の影響でひび割れが生じる場合や、コンクリートの打ち継ぎ箇所にも乾燥クラックが多く生じる場合があります。
鉄筋コンクリート(RC)造ですと、構造体内部の鉄筋がひび割れから腐食を起こすと、内部から膨張して外壁にひび割れが発生する場合もあります。
b)対処法
適切な下地補修を行い、塗装を行うということになります。
小さなひび割れで自分の手が届く位置であれば、DIYで補修を行おうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、コンクリート造の建物の美観を保つことは非常に難しく、専門知識が無いと適切な補修方法も分からないままになってしまいます。
補修は専門業者に依頼されることをおすすめします。
◎ひび割れを発見したら
ひび割れを見つけたら、『とりあえず』どうしたらいいのか?ということが、まず先に頭に浮かぶのではないでしょうか。
①ひび割れの幅を測る
ひびの幅によって、そのリスクの高さも変わってきます。
ひびの幅が0.3mm未満の場合は、早急な対処は必要ありません。
それ以上の場合は、一度業者に建物点検の依頼をおすすめします。
ひび割れの幅を効率的に測ることが出来る『クラックスケール』が、ホームセンターで取り扱われています。
まず幅のサイズを測り、どれくらい緊急性があるのか判断しましょう。
②業者による建物診断を受ける
ひび割れの幅が0.3mm未満の場合、早急な対応は必要ないと上記で述べていますが、対応そのものが必要ないというわけではありません。
小さなひび割れも放置し続けると、様々な弊害が発生することになります。
不安がある方や1mm以上の大きなひび割れを発見した場合は、専門業者に建物診断を依頼し、適切な対処法を相談しましょう。
◎ひび割れが発生しやすい箇所
これまで何も気にすることなく暮らしていた我が家。
ある日ひび割れを発見したことで、他にもあるのではと不安になられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ひび割れが発生しやすい箇所をご紹介しますので、確認しておくと安心です。
①窓枠まわりや開口部
窓枠まわりは、窓の開閉の影響を受けるため、ひび割れが発生しやすい場所になります。
またこの他に、玄関扉や勝手口などの開口部付近もひび割れが発生しやすい場所です。
これは地震などの揺れや、サッシ、扉などの操作によって負担が掛かるためです。
さらに窓付近は、雨水の通り道になることが多く、ひび割れから雨水が浸入するリスクが高い箇所でもあります。
特に窓枠や開口部の角から真下方向に入っているひび割れは、雨水の浸入量が多くなる傾向にあるため、注意が必要です。
②外壁の目地(シーリング)
外壁素材がサイディングの場合に限ります。
サイディング仕上げの外壁は、窓や扉といった開口部など、異なる部材同士が接する箇所等が、シーリングと呼ばれる充填剤によって埋められています。
このシーリングは外壁材よりも劣化しやすく、そのためひび割れも発生しやすい箇所になります。
ひび割れの確認をする際や、外壁のメンテナンスを行う場合は、必ずシーリングの状態も点検するようにしましょう。
③外壁本体や壁の中心部分
モルタル外壁の場合、乾燥と収縮の繰り返しにより、サイディング外壁と比べて外壁全体にひび割れが発生する可能性が高くなります。
外壁素材がモルタルの場合は、建物の周囲をぐるっと一周見られた方が良いでしょう。
モルタル外壁の場合は、一つの面が大きな壁面や、窓や扉といった開口部の少ない壁面で、壁の中心から全体に掛けて、まんべんなくひび割れが発生しやすい傾向にあります。
構造クラックや初期の施工不良によってなど、ひび割れ発生の原因は様々ですが、早ければ築10年未満でも、全体的なクラックが確認されるケースもあります。
特に庇(ひさし)や軒の出が殆ど無いような壁面は、雨や風のダメージを直接受けることになります。
雨漏りに繋がるリスクも当然高くなってしまいますので、できるだけ早い段階で対処したいひび割れになります。
④増築や改築をした時の継ぎ目
増築や改築によって壁の継ぎ足しをしたり、換気扇や開口部の位置を変更して壁を塞いだりした場合も、ひび割れは発生しやすくなります。
継ぎ目ができる場合は、防水処理がしっかりと行なわれているかどうかを確認しましょう。
防水処理がしっかりとしてあれば、万が一ひび割れが発生した場合でも、雨漏りを防ぐことが可能となります。
◎ひび割れを放置することのリスク
①見た目が悪くなり美観を損なう
ひび割れのある建物・・・少しみすぼらい印象になりませんか?
美観が損なわれることで、建物の資産価値低下に繋がったり、近隣からの印象が悪くなったりします。
また、手入れがされていないという印象から、空き巣狙いのターゲットにされるリスクも高くなります。
②塗装が剥がれやすくなる
ひび割れの箇所から雨水などが塗膜内部に浸入することで、外壁表面の仕上げとなっている塗料が剥がれやすくなる恐れがあります。
初期段階での対処は、ひび割れのみの補修で済む場合も多いのですが、長期間放置すると塗料が剥がれてしまいます。
塗料の剥がれを補修すると工事代金も高くなってしまいますので、早めに対処しましょう。
③雨漏りに繋がる
ひび割れの箇所から雨水が浸入した場合、初期の段階では室内への影響はありません。
しかし時間の経過に伴い、室内の雨漏りへと繋がってしまうリスクが高まります。
雨漏りの原因を解明することはプロでも難しいとされ、場合によっては外壁や内壁を一部壊して補修をする必要もあり、その場合の工事代金は高額になってしまうケースが多くあります。
④躯体の劣化や建物自体の耐性が低下する
ひび割れから浸入した雨水は、建物構造体へ徐々に浸透しダメージを与え、シロアリやカビの発生原因となる可能性があります。
またひび割れでは、重力やひび割れの方向に関係なく、クラックをつたって雨水を吸い上げる毛細管現象が起こります。
その結果、建物内部の湿度が上昇し、シロアリやカビが繁殖しやすい環境となり、地震や台風などの災害に対する耐性が落ちてしまいます。
ひび割れを放置すると劣化が進行し、最悪のケースとして外壁材を取り替えなくてはならないこともあります。
⑤人体に悪い影響を及ぼす
ひび割れから雨水が浸入すると、建物内部の湿度が上昇するため、カビが発生しやすい環境になります。
カビが原因で喘息やアレルギーといった疾患を引き起こすなど、人体に悪い影響を及ぼす可能性が十分にあります。
◎基礎のひび割れについて
近年、建物の耐震性に対する注目が高まっています。
その中で、住宅の下から支える基礎の部分にひび割れを発見したら、大きな不安を感じるのではないでしょうか。
しかし、ひび割れにも種類があり、補修が必要な場合と、そうではない場合があります。
知識として補修のタイミングや劣化症状の見分け方を知っていれば、強引な営業による不必要な工事をすることもありません。
①基礎部分ひび割れの原因
a)乾燥収縮
基礎部分のひび割れの原因として最も多いのが、乾燥と収縮によるものです。
乾燥によってコンクリート内部の水分が蒸発し、それによって基礎が収縮するという現象が起きます。
建物の基礎はコンクリートが固定されているため、乾燥収縮によって引っ張られたコンクリートが耐え切れず、ひび割れてしまいます。
b)気温の変化
コンクリートは、気温が急激に下がると縮む性質を持っています。
その際に発生した力が、コンクリートの持つ引張強度を上回った場合は、ひび割れが起きます。
夏場の施工でよく起きる現象です。
c)不同沈下
元々の地盤が弱い場所に建つ建物で、発生する可能性がある現象です。
建物が斜めに傾くことで、それを支える基礎が建物を支えきれなくなり、ひび割れが発生してしまいます。
程度によって、日常生活に支障をきたしたり、建物そのものが倒壊してしまったりする危険性もありますので、注意が必要です。
d)地震
よっぽどの大型な地震でなければ、深刻なひび割れが発生することは少ないですが、可能性としてゼロではありません。
地震の後に建物をセルフチェックし、大きなひび割れが発生している場合は、何らかの問題があるという可能性を疑ってください。
e)施工不良
基礎部分の鉄筋からコンクリート表面までの厚さ(かぶり厚さ)の不足や、強度の不足など、施工時に問題があった場合にも、ひび割れは発生してしまう可能性があります。
f)コンクリートの中性化
コンクリートは吸水性が高いため、長期間、雨や大気中の二酸化炭素にさらされていると、内部のカルシウム化合物が中性化してしまいます。
鉄筋を保護していたコンクリートはアルカリ性になります。
それが中性化してしまうことで鉄筋が錆びて膨張してしまい、ひび割れが発生してしまいます。
②基礎ひび割れを放置することのリスク
建物の基礎に発生したひび割れを放置すると、どのようなリスクを招くのでしょうか。
まず初めに警戒しなくてはいけないのは、ひび割れた箇所から雨水が浸入することで発生する、鉄筋の錆です。
構造的に影響を与えるほどではない幅0.3mm以下のヘアークラックであっても、雨水の侵入は起こり得ますので、注意が必要です。
また、深刻なひび割れを放置すると基礎の強度が低下してしまうため、地盤沈下が発生する可能性もあります。
③耐震性の影響について
何はさておき一番心配なのが、大型の強い地震が発生したときの影響についてだと思います。
幅が0.3mm以下のひび割れ程度では、建物の耐震性に大きな影響はありません。
しかし、構造に影響を及ぼすようなひび割れが発生している場合は、早急の対策が必要です。
深刻なひび割れを放置すると基礎の強度が低下してしまっている場合は、建物倒壊の危険性があります。
◎補修すべき基礎ひび割れの種類
①幅0.3mm、深さ4mm以上の『構造クラック』
幅0.3mm、深さ4mm以上の構造クラックが発生している場合は、基礎の補修が必要です。
構造クラックは別名『貫通クラック』とも呼ばれており、表面だけではなく内部の鉄筋までひびが届いてしまっている、非常に危険な状態になります。
雨水の浸入により基礎内部の鉄筋が錆びてしまうだけではなく、広範囲に広がってしまい、地盤沈下を招いてしまう恐れがあります。
特に、換気口の角の部分に発生しやすいクラックになりますので、チェックしてみましょう。
ひび割れの幅や深さを測る際は『クラックスケール』と呼ばれる道具を使用すると便利です。
このクラックスケールはホームセンター等で購入可能です。
価格も数百円程度と購入しやすく、基礎以外にも外壁のひび割れをチェックするなどで使用できます。
住宅のリフォームや補修を検討している方は、持っておいて損はないでしょう。
②同箇所にある複数のひび割れ
例え小さなひび割れでも、限られた範囲に複数のひび割れが確認できた場合は、注意が必要です。
1m四方に3箇所以上のひび割れがあるか否かを目安として、あまりに多くのひび割れが確認できた場合は、基礎の構造への影響が疑われます。
その場合は、専門業者による診断を検討しましょう。
③基礎の高さいっぱいに伸びているひび割れ
基礎の上から下までいっぱいに伸びているひび割れも、注意が必要です。
幅が0.3mm以下の小さなヘアークラックであっても、早めの補修を検討しましょう。
④水平方向のひび割れ
基礎に発生しているひび割れが横方向に伸びている場合、設計や施工時に何らかの問題を抱えている可能性があります。
専門業者による診断を依頼しましょう。
⑤基礎コンクリートに破裂や滑落がある
小さなひび割れを長期に渡って放置することで発生するのが、基礎コンクリートの破裂や滑落です。
この場合、ひび割れの範囲がどんどん広がってしまい、内部への雨水の浸入を防ぐことが難しくなってしまうだけでなく、放置し続けることで地盤沈下のリスクも大幅に増加してしまいます。
⑥雨染み
基礎内部に雨水が浸入していることを示すサインとして、ひび割れ周囲の雨染みが最も分かりやすいでしょう。
酷い場合は、鉄筋の錆びた汁が溢れてしまっていることもあり、強度への影響が懸念されます。
コンクリート自体に防水性はありませんので、ひび割れが無い箇所でも雨染みが出来てしまう可能性は十分にあります。
◎横方向(水平方向)のひび割れ
ここまでは主に、ひび割れの幅や深さについて述べてきました。
しかし実は、ひび割れの大きさも問題ですが、ひび割れが走っている方向も注意しなくてはなりません。
基礎にひび割れが発生する原因として最も一般的なのは、乾燥収縮によるものです。
そして、そのひび割れは縦方向に発生することが多く、その殆どは構造に影響を与えるほどではないと言われるヘアークラックです。
横方向や斜めに伸びるひび割れは、基礎に大きな力が加わることで発生します。
また、縦方向のひび割れの場合、外壁や基礎を伝ってきた雨水はそのまま下へ流れていきますが、横方向のひび割れの場合は、流れを止めてしまいます。
つまり、縦方向よりも横方向のひび割れの方が、建物内部に雨水を染み込ませやすいのです。
横方向のひび割れから侵入した雨水は流れを止めて染み込み、躯体を傷める危険性が高くなります。
この状態を放置すると、外壁塗装の防水性が低下し、劣化速度も加速するため、躯体の耐久性までもが低下する危険性があります。
そのため横方向にひびが入っている建物は、何かしらの問題を抱えている可能性が高いと考えられます。
◎ひび割れの発生を遅らせるメンテナンス
①定期的なメンテナンス
重要なのは、普段からひび割れが発生していないかセルフチェックを行うことです。
また、ひび割れが起こる前にメンテナンスを行うことも、建物寿命を長くするためには大切です。
外壁診断士が在籍している専門業者に依頼して、定期的に点検してもらいましょう。
②外壁塗装
外壁の耐久性を維持、または復活させるためのメンテナンスと言えば、外壁塗装です。
塗装をすることで、劣化していた外壁の耐久性を高め、ひび割れの発生を遅らせることが可能となります。
塗料に機能性を持たせることで、ひび割れに強い外壁を作ることが可能です。
業者に塗装見積もりを依頼する際は、しっかりと希望を伝え、どのような機能を持つ塗料で塗装を行うのが最適なのかを検討しましょう。
③業者選定をしっかりと行う
定期的にメンテナンスや補修を行っていても、外壁の耐久性は施工業者の技術力によって大きく左右されてしまいます。
手抜き工事を行ったり、雑な仕事をする業者にメンテナンスを依頼すると、補修をしてもすぐに別の不具合が発生したり、メンテナンスが元で施工業者とトラブルが起きたりする場合があります。
どのような依頼内容であっても、業者選定はしっかりと行いましょう。
◎まとめ
今回はひび割れについて、徹底解説しました。
新築であっても、築年数の経過によってひび割れが発生する場合があります。
2011年(平成23年)に発生した東日本大震災を経験した建物にお住まいの方も、セルフチェックや業者による建物診断を受けてみられては如何でしょうか。
また、これから中古戸建て物件の購入を検討されている方も、物件を見られる際はひび割れのチェックもされると良いと思います。
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