ペンキを二度塗りする理由!外壁塗装の正しい回数は何回?
ペンキを二度塗りする理由!外壁塗装の正しい回数は何回?
外壁や屋根などの塗装で、ペンキを二度塗りするのを見たことがある人もいるでしょう。
業者によっては3回、4回と塗ることもありますが、ペンキの二度塗りにはどのような理由があるのでしょうか。
今回は、ペンキを二度塗りする理由や、外壁塗装の正しい重ね塗りの回数を解説します。
家庭でDIYを行う際の二度塗りのポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ペンキを二度塗りする理由は?
一般的な大きさの家の外壁と屋根部分の面積は、テニスコート1面分よりやや大きいくらいだといわれています。
広い面積を塗らなければいけないのに、わざわざ2回もペンキを塗る理由は、重ね塗りによって正しい耐久性を発揮することです。
二度塗りするペンキは一度目のものを「下塗り」、二度目を「上塗り」といい、それぞれ役割が異なります。
下塗りの主な役割は、上塗りの密着性を高めることで、上塗りの役割は外壁を守って、美しさを保つことです。
下塗りと上塗りのペンキは役割に合った成分が入っており、2つが合わさることで長持ちする状態になります。
よって、1種類のペンキを1回で分厚く塗ったとしても、ペンキの効果はじゅうぶんに発揮されません。
【ペンキの二度塗り】下塗りの役割
下塗り、上塗りの役割をより詳細に見ていきましょう。下塗りの役割は、以下の5つです。
- 密着性を高める
- 塗装面を整える
- 塗料の吸い込みを抑える
- 塗料の発色をよくする
- 塗装機能アップ
密着性を高める
上塗り用のペンキには接着力がほとんどないため、上塗りのペンキだけを塗ってもすぐに剥がれてしまいます。
これを防ぐのが下塗りのペンキです。
下塗り用のペンキには外壁と上塗りのペンキを密着させる、接着剤のような役割があります。
下塗りをすることで、外壁の保護や景観のよさに貢献する上塗り用ペンキの効果がより高くなります。
塗装面を整える
外壁材には小さな穴やひび割れ、凹凸などが見られる場合もありますが、下塗り用のペンキが塗装面を整えてくれます。
外壁材の表面を補修したうえに上塗り用ペンキを塗れば、よりきれいな仕上がりになります。
塗料の吸い込みを抑える
窯業系サイディングやモルタルなど、外壁の材質によっては劣化によって水分を吸い込んでしまうものもあります。
もし上塗り用ペンキを直接塗ってしまうと、ペンキが外壁に吸い込まれ、上塗り用ペンキの効果が薄れてしまいます。
下塗り用のペンキを先に塗れば、上塗り用ペンキは吸い込まれません。
上塗りの効果を最大限発揮できるようにするのも、下塗り用のペンキの役割です。
塗料の発色をよくする
下塗りをせず直接上塗り用ペンキを塗ると、外壁の色が透けてしまい思った色に仕上がらない、ムラになるといった問題が起こります。
下塗りは外壁の色が透けるのを防ぎ、上塗り用ペンキの発色をよくします。
塗装機能アップ
下塗り用のペンキには、表面を固める、錆びやカビを防ぐ、遮熱するなどの効果を発揮する成分が含まれています。
ペンキによって機能はさまざまですが、どれもただ外観を美しくするだけでなく、外壁トラブルを防止するための機能をアップさせる塗装の実現に貢献します。
【ペンキの二度塗り】上塗りの役割
下塗りのあとに塗る上塗り用のペンキの役割は、次の通りです。
- 外壁材を紫外線と水分から守る
- 塗膜に厚みを持たせる
- 外観を美しくする
外壁材を紫外線と水分から守る
上塗り用のペンキには、紫外線や水分から外壁を守る役割があります。
外壁の多くは紫外線によって分解される、水分を吸って劣化が進みやすくなるといった素材でできているため、太陽による紫外線、雨や湿気などの水分は大敵です。
雨風から快適な生活スペースを守ってくれる外壁のよりよい状態を保つために、上塗り用ペンキは重要な役割を果たしています。
塗膜に厚みを持たせる
外壁と同様、ペンキも紫外線によって徐々に分解されていきます。
重ねて塗って塗膜に厚みを持たせることで耐久性を保つのも、上塗り用ペンキの役割です。
後述しますが、上塗りペンキを二度塗りして、下塗りと合わせて3回塗る工法もあります。
上塗り用ペンキの二度塗りは、より厚い塗膜を作るのに有効です。
外観を美しくする
外壁は建物の顔でもあり、色やデザインによって印象が大きく変わります。
上塗りは、外観を美しく見せるためのものでもあります。
外観をよく見せるためには、ペンキを均一に塗らなければなりません。
もちろん下塗りも正しく塗って効果を高める必要がありますが、最も人に見られる上塗りは、見た目やその後の耐久性を大きく左右するので、塗装時には高い技術が求められます。
ペンキを3回、4回塗る理由は?二度塗りは手抜き?
外壁塗装の回数を調べると、「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回塗る方法も多く見られます。
ペンキを何度も重ねて塗ると、その効果はより大きくなるのでしょうか?
劣化が激しい
通常、ペンキを3回塗る場合は下塗り用が1回、「中塗り」「上塗り」には上塗り用のペンキを使用しますが、劣化が激しい外壁や屋根は塗料を多く吸い込んでしまうため、下塗りの回数を増やすことがあります。
メーカー規定
ペンキを塗る回数は商品によって異なります。
メーカー規定が3回以上の場合は、規定に合わせた回数を重ね塗りしないと、効果が存分に発揮されません。
決まった回数を塗ると塗膜がしっかりでき、発色なども理想通りに仕上がります。
工法
「サイディング2色塗り分け仕上げ」や「複層弾性仕上げ」「目地張り付け仕上げ」のような工法は、3回以上ペンキを塗ります。
機能性やデザイン性を重視した特殊な工法で、塗装に時間や費用はかかるものの、仕上がりがよいのが特徴です。
二度塗りは手抜き?
下塗りを1回、上塗りを二度塗りする3回塗りは、外壁塗装の基本です。
よって、少し前までは上塗りと下塗りだけで終わる二度塗りは「手抜き」といわれていました。
しかし、最近はペンキも進化しており、二度塗りで完結できる製品も増えています。
中塗り不要のものだけでなく、下塗り不要で同じ塗料を2回塗るタイプのペンキもあり、「3回塗りでなければ手抜き」とは一概にいえません。
ペンキを塗る回数だけでは手抜きかどうか判断できないので、気になる場合は見積り書や工程表、報告完了書などをチェックしましょう。見積りや工程表の内容が不明瞭な場合は、手抜きの可能性があります。
また、報告完了書には使用したペンキの写真などとともに「どこをどう施工したか」が記載されているので、二度塗りではなく3回、4回塗らなければいけないはずのペンキの塗布回数が少ない場合は、要注意です。
重ねて塗れば塗るほどよい?
全体で二度塗りでよいペンキもあれば、4回、5回と重ね塗りが必要なペンキもありますが、ペンキは重ねて塗れば塗るほどよいというわけではありません。
前述の通り、ペンキはメーカーや製品による規定に合った回数を塗ると、塗膜の厚みや機能がじゅうぶん発揮されます。
本来中塗りが必要なペンキを、下塗りと上塗りだけで済ませるような手抜き工事も危険ですが、反対に、不要な重ね塗りで高額請求をしてくる悪徳業者もいます。
「たくさん塗るほど耐久性がよくなる」「塗装の剥がれを防止できる」というのは間違いです。
メーカー規定に沿った回数で、正しく塗装を行ってくれる業者を選びましょう。
DIYでペンキを二度塗りする際のポイント
外壁塗装は、役割に応じたペンキを二度塗り、三度塗りすることでじゅうぶんな効果が出ますが、DIYでペンキを塗る際も、二度塗りはおすすめです。最後に、DIYで使える二度塗りのポイントを紹介します。
1回目の塗装を完全に乾かす
二度塗りの前には、最初に塗ったペンキをしっかり乾かしてください。
1度目に大量のペンキを塗ると乾くのに時間がかかりムラにもなりやすいので、塗料を調節しながら塗るとよいです。
ペンキが完全に乾いているのを確認してから、次の工程に進みましょう。
やすりがけをする
二度塗りの前には、軽くやすりをかけましょう。
やすりがけには、1回目に塗ったときにできてしまったムラや凹凸をならす効果があります。
また、表面に小さな傷がつくと、二度目に塗ったペンキが密着しやすくなります。
塗料の量は1回目と同量
二度塗りする際のペンキも、1回目と同じくらいの量にします。
「厚く塗ればよい」というわけではないので、もし二度塗りして理想の色にならなかった場合は、再度やすりをかけてもう一度重ね塗りをするのがおすすめです。
重ね塗りをする場合は、1度目と同じように完全に乾かしましょう。
必要に応じてニスを塗る
二度塗り、さらなる重ね塗りをして完成したら、必要に応じてニスを塗ります。
ニスは表面に樹脂で硬い膜を作ってくれるので、塗ったペンキが落ちにくく、また傷やへこみなどの防止効果もあります。
コーティングによってつやが出て、汚れやシミから守ってくれるので、DIYで作った家具などをきれいに長く使うことが可能です。
ペンキの二度塗りには大切な理由が!正しい塗装で外壁を守ろう
外壁や屋根の塗装に使用するペンキは、下塗り用と上塗り用で役割が異なり、重ね塗りをする理由があります。
下塗り1回、上塗り2回(中塗り・上塗り)の3回塗りが基本でしたが、昨今は「下塗りと上塗り」「中塗りと上塗り」のように、二度塗りで完結する商品も増加傾向です。
規定の回数で塗装を行うことは、外壁の状態を長いあいだ美しく保つのに貢献します。
DIYでも二度塗りは有効ですので、ぜひ美しく仕上げられる方法を実践してみてください。
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