【換気】２４時間換気と局所換気の違いについて

平成１５年７月の法改正によって義務付けられるようになった２４時間換気システム。

「昔は２４時間換気なんて無かった。法改正で義務付けだか何だか知らないけど、２４時間換気システムなんて不要だ。」

「空気が乾燥する冬に、換気によって室内の湿気を外に捨ててしまうのは勿体無い。」

このような考えをお持ちの方はいらっしゃいませんか？

上記のような意見はズバリ、換気に対する理解不足から出てくる意見です。

生活をしていく上で常時発生する科学物質や呼吸によって排出される二酸化炭素、生活臭などを排出する「２４時間換気（常時換気）」と、キッチンやお手洗い、浴室などで発生する湿気や強い臭いなどを排出する「局所換気」は、目的が違います。

そこで今回は、常時換気（２４時間換気）と局所換気の違いについて解説します。

◎常時換気（２４時間換気）って何？

常時換気システムと「２４時間換気システム」は同じです。

名前の通り、１年３６５日、２４時間つけっぱなしで換気をする換気システムになります。

室内で発生するホルムアルデヒドなどの化学物質や、呼吸によって排出される二酸化炭素などを排出し、新鮮できれいな外気を室内に入れる目的で設置されています。

汚染源の有る無しに関わらず、１時間当たり家全体の空気の約半分の量を排気し、同じだけの量の外気を吸気しなければなりません。

１時間で約半分ということは、２時間で家中の空気を全部入れ替える換気システムが２４時間換気システム（常時換気）です。

平成１５年７月に建築基準法が改正され、住宅への２４時間換気の設置が義務付けられるようになりました。

◎常時換気（２４時間換気システム）の目的

建築基準法の視点から捉えた常時換気（２４時間換気システム）は、シックハウス対策として義務付けられました。

ですが実際、換気を行う目的はそれだけではないということは、皆さんも想像出来ると思います。

①揮発性有害化学物質の除去

現在住宅に多く使用されている建材には、シックハウスの原因ともなるホルムアルデヒドやトルエン、キシレンといった揮発性化学物質が含まれています。

そしてこれらは、長期的に室内に揮発してきます。

シックハウスの原因ともなる揮発性有害化学物質を室内に滞留させないため、ゆるやかな常時換気（２４時間換気システム）で屋外へ排出する必要があります。

②二酸化炭素の排出・酸素の流入

人は酸素を吸い、二酸化炭素を吐き出すことを繰り返し行い、呼吸をしています。

呼吸によって排出された二酸化炭素を屋外に排出し、減った酸素をおぎなうための換気が必要です。

③温度や湿度の撹拌と結露対策

日々の暮らしの中で、浴室やキッチンからは大量の湿気が放出されています。

また、私たち自身からも、湿気が放出されています。

それが顕著に表れるのが、室内と屋外の温度差が拡大する冬期となるわけですが、湿気が集中するとあっという間に大量の結露が発生してしまいます。

この結露を放置しておくと、室内の場合は柱や床材、壁などが腐敗を起こしたり、カビが発生したりしてしまいます。

湿気が滞ることがないよう、換気によって室内の空気に流れを作り、湿気を撹拌させなくてはなりません。

適度な温度差と湿気のかたよった場所を作らないことで、結露を抑制します。

④生活臭の滞留を抑制

日々の暮らしを送っている中で、様々な匂いが発生します。

換気によって室内で発生した匂い成分を屋外に排出し、生活臭を軽減する目的があります。

⑤ハウスダストの排除

室内には微細はハウスダストが大量に浮遊しています。

そのハウスダストの中でも、カビの胞子やダニの死骸やフンｔなどの人体に有害な雑菌やアレルゲンの微粒子は、人が動くたびに室内で舞い上がっています。

このようなハウスダストによる健康被害を防ぐためにも、換気によってハウスダストを排除しなくてはいけません。

◎局所換気って何？

２４時間換気システムとは別に、特に湿気やニオイが発生する浴室やキッチン、トイレなどにおいては、必要な時だけ必要な風量で換気を行う必要があります。

分かりやすい例というと、キッチンでのレンジフードや浴室換気などが挙げられます。

ピンポイントで湿気やニオイを室外へ素早く排出し、新鮮な空気と入れ替えるのが局所換気です。

◎局所換気の目的

①適度な湿気を排除と結露対策

入浴したり、キッチンで調理をしたりしていると、短時間で大量の湿気が発生します。

これらの大量の湿気は建物内で結露を発生させ、建具や壁を腐らせたりカビが発生したりします。

発生のタイミングで大量に換気を行い、速やかに湿気を排出することで、湿気による被害の発生を抑制します。

②ニオイや二酸化炭素の除去

キッチンやトイレ、浴室といった水回りで嫌なニオイが溜まったままになっていると、生活の質が低下してしまいます。

これら短時間に急発生するニオイや二酸化炭素には大量に換気をし、汚れた空気を速やかに屋外に排出することで、生活が快適になります。

◎まとめ

常時換気（２４時間換気）と局所換気は、同じ換気でもそれぞれの目的が違うということが分かりました。

この２つの換気は、どちらかが必要でどちらかが必要ないというわけではありません。

それぞれの目的に応じた換気の使い方というのが、快適な暮らしを継続する上では欠かすことが出来ませんね。