日本瓦屋根の各パーツの種類や名前を紹介!それぞれの特徴とは?
日本瓦屋根の各パーツの種類や名前を紹介!それぞれの特徴とは?
日本の伝統的な家屋に使われている瓦屋根は、複数のパーツが組み合わされて作られています。
見積もりでも詳細にわたって記載されるケースがありますが、どこのパーツのことなのか把握できない人も多いでしょう。
そこで今回は、日本瓦屋根の各パーツの種類や名前を紹介していくので、参考にしてみてください。
各パーツの特徴についても解説していきます。
日本瓦屋根の各パーツの種類や名前を紹介
日本瓦屋根は、各パーツの組み合わせで出来ています。主に10個のパーツから出来ており、それぞれ特徴や役割を持っているのが特徴です。
日本瓦屋根の各パーツは、下記の通りになります。
- 桟瓦(さんがわら)
- 軒瓦(のきがわら)
- 雪止瓦(ゆきどめがわら)
- 角瓦 (かどがわら)
- 隅瓦(すみがわら)
- 鬼瓦(おにがわら)
- 巴瓦(ともえがわら)
- のし瓦
- 冠瓦(かんむりがわら)
- 袖瓦(そでがわら)
日本瓦屋根の各パーツの種類や名前、特徴について詳しく解説します。
桟瓦(さんがわら)
波型になっている瓦で、瓦屋根で使われていることが多いタイプです。
野地板の上に設置した桟木にひっかけることで屋根を施工しており、1枚単位で交換できます。
波型の桟瓦以外の瓦に関しては、特殊な形をしているケースが多いです。
軒瓦(のきがわら)
軒先にある瓦で、雨樋に水を流す役割を持っています。
中央部分がへこんでいる形になっており、水が流れやすいよう設計されているのが特徴です。
家紋や絵柄を入れるといったデザインにするケースも少なくなく、住宅の印象を決めるうえで重要な役割を担ってくれます。
雪止瓦(ゆきどめがわら)
軒先から3~4段目に設置されるケースが多く、少し盛り上がった形になっているのが特徴です。
雪が滑り落ちないよう止める役割を持っており、雪が降る地域では雪止瓦を2段設置するケースがあります。
角瓦 (かどがわら)
軒と破風が交差する場所に設置されるのが、角瓦です。
樋が当たらないよう先端に切り込みがあるパーツとなっています。
さまざまな種類があり、住宅の印象や役割によって形が少し違うのが特徴です。
隅瓦(すみがわら)
屋根の隅の軒先だけに使う瓦となっています。切隅や廻隅など、種類がいくつかあるのが特徴です。
役割や形によって選択するものが違うので、業者によって適切なものが使用されます。
鬼瓦(おにがわら)
屋根の端に設置される瓦で、瓦のなかでも選択されることが多いです。
厄除けや装飾の役割があるだけでなく、屋根材に雨水が侵入しないようにする役割も担っています。
鬼の形をした瓦もあり、雲や七福神などデザインはさまざまあるのが特徴です。
巴瓦(ともえがわら)
軒先に使用されるのが巴瓦です。丸井形で先端に巴紋が描かれているのが特徴です。
防火のおまじないといった目的で使用されることが多く、使う部分によって名称が変わってきます。
のし瓦
屋根の頂上にある棟瓦の下に重ねてある瓦のことをのし瓦と呼びます。
のし瓦は、水切りや雨よけの役割を持っていて、複数ののし側をずらして重ねれば、雨水の侵入を防ぐことが可能です。
のし瓦は割って使う屋根材なので、瓦割りに使用されることが多いです。
基本的に他の瓦は硬いことから、瓦割りに使用されることは少ないでしょう。
冠瓦(かんむりがわら)
屋根の一番高いところに設置する瓦が冠瓦です。円型の瓦で、雁振瓦(がんぶりがわら)とも呼ばれています。
他にも、平たいものは伏間瓦(ふすまがわら)と呼ばれており、雨仕舞の役割がある瓦です。
袖瓦(そでがわら)
破風部分に使われる、妻側の三角形になった瓦です。
けらば瓦とも呼ばれる箇所、雨水除けの垂れがあるのが特徴となっています。
屋根の内側に水が侵入しない役割を持っているのが特徴です。
袖は、大袖や小袖などの種類があり、袖が左にあれば左袖、右に袖があれば右袖になります。
屋根材で使用される瓦の種類について
屋根材では、いくつか使用される瓦があります。瓦の種類によって特徴が異なり、住宅に与える影響や役割が違うのが特徴です。
屋根材で使用される瓦の種類としては、下記の通りになります。
- 陶器瓦
- セメント瓦
- ハイブリッド瓦
屋根材で使用される瓦の種類について、詳しく解説します。
陶器瓦
陶器瓦とは、耐久性が高く、屋根材のなかでは比較的長く使用できる屋根材となっています。
色が限られているケースがありますが、基本的に自由に色は選択出来るのが特徴です。
陶器瓦はJ型・F型・S型の3つの種類があり、J型が日本で使用されることが多い陶器瓦となっています。
J型は古い家屋でみられる形で、JAPANの頭文字をとってJ型と呼ばれているようです。
F型は平らな板で、凹凸が一切ない瓦となっています。和風の住宅だけでなく、洋風住宅にも利用されることが多い瓦です。
F型にもいくつか種類があるので、住宅の印象に合わせて選ぶのが良いでしょう。
S型は、スペイン瓦を日本風にアレンジした形をしています。凹凸がある屋根で、洋風住宅に多く利用されるのが特徴です。
基本的に陶器瓦の耐用年数は60~100年といわれています。耐用年数の長さから、メンテナンスも不要といわれているほどです。
セメント瓦
セメント瓦は、現在販売されている屋根材です。セメントを主成分にした屋根瓦で、見た目を自由に成型できる分、陶器瓦と区別がつきにくいといわれています。
しかし、陶器瓦よりも年数が経つと、色褪せが目立ちやすいのが難点です。また、アスベストが一部使われていることから、近年では使用されることがほとんどありません。
セメント瓦の耐用年数は、メーカーによって異なります。一般的には、陶器瓦よりも割れやすいといわれており、耐用年数は30~40年程度です。
ただし、ものによっては50年程度は持つようなので、定期的にメンテナンスを行って長期的に利用できるよう配慮する必要があります。
ハイブリッド瓦
樹脂とセメントのハイブリッド瓦で、2007年から販売が開始されました。一般的には、ハイブリッド瓦と呼ばれています。
耐震性が高く、他の瓦と比べて重量は半分と、かなり軽い素材なのが特徴です。基本的に地震のときは揺れが少なくなるので、耐震性を高めることができます。
また、割れにくく丈夫な瓦となっているのが特徴です。耐用年数は30年ほどといわれています。
実際に、販売が開始されてから30年も経っていないので、どれくらい耐久力があるのか把握できていないのが特徴です。
もしかすると、予想よりも長持ちする可能性があります。
屋根の各部位の名称
屋根には部分ごとに名称があり、見積もりを取得する際にはどの部位のことを指してるのか、把握しておくことが大切です。
専門用語に近いので、リフォームする際には屋根の名称は押さえておいたほうが良いでしょう。
屋根の各部位の名称としては、下記の通りです。
- 平部(ひらぶ)
- 軒先部(のきさきぶ)
- 平棟部(ひらむねぶ)
- ケラバ部
- 隅棟部(すみむねぶ)
- 壁取合い部・桁方向(けたほうこう)
- 壁取合い部・流れ方向
- 谷部
屋根の各部位の名称について、詳しい内容を解説します。
平部(ひらぶ)
屋根の平面部分のことを平部と呼び、屋根のなかでは範囲が広い部分になります。
一般的に屋根といわれたら、この平部を指していることが多いです。
軒先部(のきさきぶ)
建物よりも突き出ている部分を軒先部と呼びます。建物の外部に張り出ているので、雪や雨などから建物を守る役割を持っているのが特徴です。
また、日差しからが家の内部に入ってこないようにする役割を持っているので、家のなかがまぶしくならない効果も期待できます。
平棟部(ひらむねぶ)
屋根の頂上にある水平部分を平棟部と呼びます。主棟や大棟と呼ばれることもあり、住宅の印象を決める役割もあるのが特徴です。
ケラバ部
屋根で雨樋がついていない部分をケラバ部と呼びます。雨樋が付いている部分は軒先と呼ぶのが特徴です。
ケラバ部分は、破風板や水切り金具などで覆って、雨や窓に吹き込まないようにしたり日当たりを加減したりする役割を持っています。
隅棟部(すみむねぶ)
隅とも呼ばれていて、屋根の四隅にできる山形のつなぎ部分を指しています。
主棟から軒先に向けて下りている部分で、各方面の屋根をつなぐ役割を持っているのが特徴です。
壁取合い部・桁方向(けたほうこう)
壁取り合い部とは、屋根と外壁が接する部分を指しています。
桁は屋根業界で棟と平行になるように、柱の上に渡す部材で、建物の上からの荷重を支える役割を持っているのが特徴です。
壁取合い部・流れ方向
流れ方向とは、屋根と外壁が接して雨水が合流する部分を指しています。雨水が溜まって水量が増えるので、しっかりメンテナンスをしないと雨漏りの原因になる恐れがあるでしょう。
谷部
屋根面とつなぎ部分で谷になった部分を指しています。2つの斜面が重なることで排水を促して、屋根に水が溜まらないような役割を持っているのが特徴です。
古い建物では、谷部に銅板が使用されており、劣化すると穴が空いて雨漏りに繋がる恐れがあります。
日本瓦屋根の各パーツの種類と名前を把握しておこう
リフォームや修繕のときに、日本瓦屋根の各パーツの種類と名前を把握しておかないと、見積もり時に部位がわからなくなる恐れがあります。
日本瓦屋根の各パーツの種類と名前を理解しておけば、自然と修繕箇所をイメージしやすくなるでしょう。
今回紹介した日本瓦屋根の各パーツの種類と名前を把握して、住宅をリフォームや修繕するときに備えておいてください。