【どっち】外壁塗装の勘定科目は修繕費？それとも資本的支出？
外壁塗装のみならずリフォーム費用を事業経費として計上する際には「減価償却」を学ぶ必要があります。ただ、外壁塗装に関しては経費計上の分類方法が2つあり、どちらにしていいかがわからないと悩む方も多いと思います。そこで今回は、外壁塗装の勘定科目について解説します。
外壁塗装費用の勘定科目
外壁塗装費用の勘定科目は以下の2つに分類されます。
- 修繕費
- 資本的支出
それぞれ扱いが異なり、経費計上の方法も変わってきます。
修繕費
修繕費は「外壁塗装費用を収益的な支出」として判断する場合の勘定科目として見なされています。
例えば、
- 一部分の修繕
- 壊れた部分を修繕する
などはすべて修繕費として判断します。雨漏り修理や外壁のひび割れ修繕もその1つであくまで「一部分」を修繕する場合にのみ修繕費として判断されます。
資本的支出
一方で資本的支出は、「修繕費以外の支出」です。
例えば、
- 外壁のデザインを変更する
- 建物（マンションなど）の資産的価値を高める
など、修繕が目的ではなく資産として価値を高めたり何かしらの手を加える場合はすべて資本的支出となります。遮熱塗料の利用も資本的支出として扱われます。
外壁塗装の減価償却について
さて、勘定科目について理解ができたところで減価償却についても学んでおく必要があります。資本的支出として計上する場合は減価償却の知識は必要不可欠となります。
そもそも減価償却とは
そもそも減価償却とは、時の経過とともに価値が減少していく資産（減価償却資産）の減少分を費用に計上する会計処理のことを言います。
この減価償却の方法は、
- 直接法：固定資産の価値を直接減額する
- 間接法：減価償却累計額に計上し間接的に減額する
の2通りが存在しており、どちらにしても「減価償却費」として会計処理を行います。
詳しくはMoneyForwardクラウド会計さんの記事をご覧ください。
外壁塗装の耐用年数
外壁塗装費用が資本的支出として判断される場合、
- 物件（建物）本体の種類
- 耐用年数
が同じの固定資産を新しく取得したものとして会計処理を進めます。それぞれの物件（建物）における法定耐用年数は以下の通りです。
| 構造・用途 | 細目 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 事務所用 | 24年 |
| 店舗用・住宅用 | 22年 | |
| 飲食店用 | 20年 | |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造・ | 事務所用 | 50年 |
| 鉄筋コンクリート造 | 住宅用 | 47年 |
| 店舗用・病院用 | 39年 | |
| 金属造 | 事務所用（骨格材の肉厚が4mm超） | 38年 |
| 事務所用（骨格材の肉厚が3mm超4mm以下） | 30年 | |
| 事務所用（骨格材の肉厚が3mm以下） | 22年 |
外壁塗装の減価償却計算方法
外壁塗装の減価償却計算方法は2007年4月1日以降取得の建物に限り「定額法」を用います。この「定額法」では定額法償却率を用いるため少し複雑です。
例えば『当期8月1日に100万円の費用をかけて外壁塗装を行ないました。すべて資本的支出として扱います。』のケースだと以下のような計算になります。
- 事業年度の減価償却費計算
▶︎1,000,000×0.042×8/12＝28,000円 - 翌年度以降の減価償却費計算
▶︎1,000,000×0.042＝42,000円
ちなみに、2007年4月1日以降取得の物件（建物）を含む資産の定額法償却率は以下の通りです。
| 20年 | 0.05 |
| 22年 | 0.046 |
| 24年 | 0.042 |
| 30年 | 0.034 |
| 38年 | 0.027 |
| 39年 | 0.026 |
| 47年 | 0.022 |
| 50年 | 0.02 |
出典：減価償却資産の償却率等表
外壁塗装費用の勘定科目別メリット・デメリット
外壁塗装費用には「修繕費」と「資本的支出」の勘定科目があります。それぞれ会計処理にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
修繕費のメリット・デメリット
修繕費のメリット・デメリットには以下のようなものがあります。
メリット
修繕費のメリットは「一括計上が可能で納税額を抑えることができる」ことでしょう。
外壁塗装費用を一括で計上できれば所得額がその分、減額されます。所得額が低くなると納税額も低くなるため結果的に節税ができたという見方もできるでしょう。
デメリット
一方で修繕費のデメリットは「必ず計上できるとは限らない」ことでしょう。
資本的支出の場合は20万円以上の費用に対して適用されますが、修繕費だと20万円以上の費用を計上することができません。20万円以上の外壁塗装費用になると減価償却をしなくてはなりません。
資本的支出のメリット・デメリット
続いて、資本的支出のメリット・デメリットです。
メリット
資本的支出のメリットは「赤字を抑制できる」ことでしょう。
修繕費のように一括で計上をしてしまうと、結果的に赤字になってしまう可能性があります。複数年で外壁塗装費用を計上できるため1年毎の負担額は低くなります。
デメリット
資本的支出のデメリットは「一括計上ができない」ことでしょう。
修繕費は一括計上が可能ですが、資本的支出は一括計上ができません。償却期間を調べたり減価償却について学ぶ必要がありますし、そもそも償却期間は国税庁が定めているため自分で決めることができません。
まとめ
外壁塗装費用の勘定科目は「修繕費」と「資本的支出」の2つがあります。それぞれの特徴を理解して、会計処理に役立てましょう。
