【外壁材・金属サイディング】メリットについて徹底解説
「金属サイディング」という言葉を聞いたことがありますか?
金属サイディングは外壁材なのですが、屋根と同じく主にガルバリウム鋼板で出来ています。
スタイリッシュな見た目は勿論のこと、施工性や断熱性といった機能性の高さから、金属サイディングを外壁材として採用される方が増えています。
そこで今回は、金属サイディングについて詳しく解説します。
◎金属サイディングとは
サイディングは「窯業系(ようぎょうけい)」、「金属系」、「樹脂系」、「木質系」の4種類に分けられますが、窯業系のシェアが現在トップで約70%となっています。
一方金属サイディングのシェアは全体の約9%程度ですが、耐久性や断熱性といったメリットが一般の方にも知られるようになり、徐々に金属サイディングのシェア率が増えてきています。
ひと昔前の金属サイディングと言えば、「トタン」だったため、築年数の経過している戸建タイプの集合住宅では、現在でも波型トタンの外壁を見かけることがあると思います。
現在の金属サイディングはアルミやステンレスのものもありますが、「ガルバリウム鋼板」という鉄合金の板に、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、ケイ素(シリコン)1.6%の比率で出来た金属メッキ加工を施したものです。
◎金属サイディングのメリット
①カバー工法によるリフォームが可能
既存の屋根材に新しい屋根材を重ねるカバー工法(重ね葺きとも言います)のように、外壁にもカバー工法によるリフォームがあります。
外壁の場合は、既存外壁(塗り壁や窯業系サイディング)の上から金属サイディングを重ね張りします。
カバー工法は、金属サイディングが軽量であるからこそ可能な施工方法です。
例えば築年数が30年以上経過して劣化がかなり進行している住宅や、塗装リフォームを既に3回している住宅では、カバー工法以外に選択肢がないということもあります。
それは、築30年以上で劣化がかなり進行している場合は、外壁だけではなく躯体部も傷んでいることがほとんどですし、3回塗装リフォームをしている場合は、それ以上塗装をしても毛細管現象が発生しますので、塗装をする意味がないと言っても過言ではありません。
また、窯業系サイディングが直張り(じかばり)されている外壁では、内部結露を起こしやすく、塗装をしてもすぐに塗料が剥がれ落ちてしまうため、高価な塗料を使用したとしてもその効果を得ることは出来ません。
②断熱性に優れている
金属サイディングは、金属屋根と同じように断熱材と一体化している上に、裏側にはアルミシートが貼り付けられているという特長を持っているため、断熱性が非常に優れています。
また、室内側に出来る断熱構造によって、外壁が継ぎ目のない空気層で覆われることにより外壁内に空気層ができ、「外断熱」になります。
断熱は室内側で行う内断熱より、外断熱の方が優れており、金属サイディングの断熱効果は非常に高いです。
③メンテナンスが楽
塗り壁や窯業系サイディングと比べ、金属サイディングは塗料がしっかりと密着しているため、雨水などを吸い込むこともなく防水性に優れています。
また乾燥や収縮の影響も殆どないため、ひび割れも起きにくくなっています。
最近の金属サイディングの塗装に使用されている塗料は、耐候性に優れたものが使用されています。
よって常に自然の影響を受ける環境下においても、変形や変色、劣化などが起きにくくなっているのです。
同じサイディングでも、窯業系サイディングは10~15年を目安に塗り替えのメンテナンスが必要となりますが、金属サイディングではその必要がありません。
④防音性に優れている
カバー工法によって外壁リフォームをした場合は、既存外壁の上から金属サイディングを重ねるため、外壁が二重構造になります。
その結果、防音性はかなり高くなります。
この防音性は、「外からの音が室内に入るのを防ぐ」だけでなく「室内の音が外に出るのを防ぐ」というものになります。
⑤シーリングの劣化速度が遅い
サイディング同士の隙間を埋めるため、その継ぎ目にはシーリングというゴム状の材料を充填します。
窯業系サイディングではシーリングが表に出てしまっているため、紫外線や雨水などの影響を受けやすく、約10年前後でひび割れなどの劣化症状が出てくることもあります。
金属サイディングでもシーリングは使用しますが、むき出しになる部分は少ないため、紫外線や雨水などの影響を受けにくく、長持ちします。
⑥クラック(ひび割れ)が少ない
乾燥と収縮の繰り返しや地震の影響によって、塗り壁や窯業系サイディングの外壁ではクラックがよく発生します。
金属サイディングは乾燥収縮や地震の影響を受けにくいため、他の外壁材と比べ強度が高くなります。
⑦雨漏りが改善される
多くの方が「雨漏りは屋根からだ」と思われているのですが、実は外壁が原因となる雨漏りの発生頻度の方が高くなります。
外壁からの雨漏りの場合、その原因特定は屋根以上に難しく、場合によってはかなり大掛かりな工事になってしまうこともあります。
外壁カバー工法であれば、外壁が二重構造になるわけですから、外壁の防水性が高くなり、雨漏りが改善されます。
外壁からの雨漏りは確実なのに、場所の特定が困難という場合には、金属サイディングのカバー工法によって、雨漏りは確実に改善されます。
◎まとめ
サイディングは屋根だけのものというわけではありません。
以前は工場など、主に大型の建物の外壁材として使用されることの多かった金属サイディングですが、生活スタイルの変化や建築技術・資材の品質改良などによって、一般戸建住宅でも採用されることが増えてきつつあります。
今の住まいにこれからも住み続けたいという考えがあるのであれば、次回の外壁リフォームは塗装ではなく金属サイディングによるカバー工法を検討されると良いのではないでしょうか。
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