【コーキング③】コーキングの劣化について徹底解説!
ここまででは、【コーキング①】ではコーキングの概要と役割について。
【コーキング②】では、コーキングが使用されている箇所について触れてきました。
コーキングには気密性、防水性、クッション性の役割があり、その使用箇所は建物の内外至るところにありましたね。
セルフチェックをされた方は、『あれ?これは大丈夫なのかな?』と思われた箇所がありましたか?
今回は、よく目にするコーキングの劣化症状について解説します。
◎コーキングの劣化
『コーキングの傷み』と言っても、その内容は様々です。
ここれは、コーキングの傷み(=劣化)と、その劣化が起きた原因について解説します。
①目地の汚れ
玄関タイルなどで見られる劣化です。
玄関は人の出入りがありますので、どうしてもタイルに土やホコリが付着してしまいます。
目地にあるくぼみ部分にも、土や汚れなどが溜まってしまいます。
また僅かながらですが、土の中に含まれる金属成分が酸化してしまう場合もあります。
②カビ
お風呂場やキッチンなど、主に水回りで見られる劣化になります。
タイルの目地だけでなく、浴室ドアにあるゴムパッキンの部分でも見かけますね。
(見かけても決して良い気持ちはしませんが・・・)
流しきれていない石鹸カスや皮脂、キッチンでは油分などを餌として、カビ菌が繁殖したため起こります。
③ひび割れ
外壁やサッシなど、主に外回りで見られる劣化になります。
日々紫外線を浴びているため、コーキングの可塑剤が抜け始め、起きる症状です。
放置していると、『剥がれ』や『裂け』などの劣化に繋がります。
劣化の初期症状になりますが、日当たりや天候による影響により、早ければ5年前後から現れ始めます。
④肉やせ
こちらも外壁やサッシなど、主に外回りで見られる劣化になります。
コーキングの表面がゆっくりと凹んでくる状態で変色をすることも多く、近くに寄ればすぐに気付くことができるでしょう。
コーキングの可塑剤が経年と共に抜け、縮んでいくことが原因です。
具体的な被害がすぐに起きるわけではありませんが、放置しつづけると、次に紹介している剥がれや裂けへと繋がります。
⑤剥がれ・裂け
(剥がれ)
(裂け)
こちらも外壁やサッシなど、主に外回りで見られる劣化になります。
ひび割れや肉やせの劣化を放置しつづけることで、可塑剤の効果は切れてしまいます。
それに伴い、柔軟性が失われたコーキングは建材の動き(=建物のわずかな揺れ)に追随することが出来なくなり、このような症状が起きます。
ここまで劣化が進んでしまうと、雨水が壁の内側に入り込み、コーキングの収縮や外壁の動きと共に、剥がれや裂けは広がってしまいます。
早急な対処が必要な時期にきています。
◎劣化を放置するとどうなる?
コーキングの耐用年数は、それほど長いわけではありません。
10年を越えると、十分に劣化している可能性は高いでしょう。
また、その劣化を放置すると、建物内部に重大な損傷を与えることに繋がりますので、早急に対処されることをおすすめします。
コーキングの重要な役割に『防水』があるということは、これまでのブログでお伝えしている通りですが、防水機能が正常に作用していることで外壁材と外壁材の隙間から雨水の浸入を防ぎ、建物の躯体を守っています。
ですが、この『躯体』の劣化や傷み、被害というものは、外からは見えないため、劣化に気付いていても対処を後回しにしてしまう、という方が多いのが実情です。
そしてもう一つの役割が『クッション性』でしたね。
建物の僅かな揺れに追随しているコーキングがあることによって、地震などが発生しても外壁の損傷を防いでくれているのですが、劣化していればその効果は期待できません。
①腐食・錆・シロアリの発生
コーキングがひび割れたり、避けたりしている箇所から雨水が入り込み、さらに外壁内部の防水シートが経年劣化や施工不良によって隙間がある場合は、雨水はさらなる壁の内部へと浸入します。
壁の中には湿気が溜まり、木造住宅であれば腐敗しますし、鉄骨造の住宅であれば錆が発生し、腐食を引き起こします。
さらにシロアリは、湿気がこもり、光の当たらない躯体部分のような環境が大好きです。
シロアリが発生した場合は、木材を食べつくし、住まいの耐久性や耐震性を大きく低下させてしまいます。
②雨漏り
外壁のコーキングひび割れ部分から雨水が侵入すると、壁内に水分を溜め込みます。
しかし、ここは本来水分が入ってはいけない場所である上に、溜め込むにしても限界があります。
限界を超えた水分は、雨漏りとして室内へ溢れ出ることになります。
壁紙にシミやカビを作ったり、付近にある家具や電化製品を濡らし、被害を与えます。
電化製品にまで被害が及んだ場合は漏電が発生し、テレビやパソコンなど、精密機器の故障に繋がる場合もあります。
室内に雨染みや雨漏りの症状が確認できるということは、すでに壁内には雨水が溜まっていて、躯体部分の被害は大きいと考えて良いでしょう。
③外壁のズレや破損
コーキングは様々な要因によって生じる揺れに対し、クッションのような役割も持っていましたね。
建物は地震や大型車両の通行時に生じる振動によって、僅かではありますが頻繁に揺れています。
コーキングはこの揺れに追随して建物も一緒に揺れ、振動を逃がし、建物への影響を軽減しています。
このとき外壁そのものも左右に移動し、隣の外壁材へ大きな力で寄っていくのですが、コーキングがクッションとしてその圧力を吸収し、弾力性によって元の位置へ戻す作用があるのです。
コーキングが劣化すれば、その機能は低下し、大きな揺れが発生すると外壁材がずれたり、割れたりといった損傷を引き起こすこととなります。
◎まとめ
ご自宅のコーキングの劣化症状をセルフチェックしてみませんか?
これまで気付かなかった劣化に気付くこともあるかもしれません。
コーキングの平均耐用年数は約7~8年と言われています。
日々のお手入れによって劣化の進行速度を遅くすることはできますが、『劣化させない』ということは出来ません。
劣化症状の有無や状況を確認し、メンテナンスの時期が来ているのであれば、早めに次の行動に移りましょう。
次回は、コーキングの補修について解説します。
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