【寒さ対策②】壁の外装リフォームで考える寒さ対策~冬に向けて~
前回の【寒さ対策①】では、屋根裏と屋根からの断熱リフォームについて解説しました。
既存の屋根材や、断熱材の種類によって、工法や断熱効果に違いがありましたね。
今回は、壁にスポットを当てた寒さ対策について解説します。
◎壁の断熱リフォーム
建物全体の寒さ対策として、断熱リフォームがあることは、屋根編でもお伝えしたとおりです。
古民家並に築年数が経過している建物は、壁に土を塗ることで、外の寒さを防いでいました。
ただし土壁は、現在一般的に使用されるグラスウール断熱材の20倍も熱を通しやすいとされています。
また土壁ですと、冬は空気が乾燥していますので、そこで隙間ができ、隙間風が家の中に入ってくるために、余計に寒さを感じるという構造になっています。
壁の断熱リフォームと聞いても、ピンと来ない方も多いかもしれませんが、今は建材や塗料の品質改良がされ、それぞれの機能性も非常に向上しています。
この寒さを何とかしたいとお困りの方は、壁の断熱リフォームを検討されてみてはいかがでしょうか。
①内壁からの断熱リフォーム
『壁の断熱リフォーム』と聞いて、内側に断熱材を入れる方法が思い浮かんだ方も多いと思います。
正式には『充填断熱』と言い、建物の柱や土台、梁などの間に断熱材を充填していく工法で、繊維系の断熱材が一般的に使用されることが多いです。
また、2×4住宅や筋交を用いない木造住宅では、性能の高い発泡プラスチック系断熱材が使用されることもあります。
この工法は、躯体の間の空間に断熱材を入れるため、見た目が変わることがなく、また100mm程度の断熱材を入れるスペースを確保することが可能ですので、色々な種類の断熱材から選ぶことができます。
選択肢の幅が広い分、性能を確保しつつもコストを抑えることが出来るのです。
しかし、構造材の部分は断熱が出来ないことや、コンセントボックスなど壁内部に納まっている設備に干渉されるため、設計通りの厚みを確保できない場合もあります。
また、現在お住まいの場合には、非常に大掛かりなリフォームとなるため、一時的な引越しが必要になることもあり、トータルコストが掛かります。
②外壁からの断熱リフォーム
壁の外側からの断熱リフォームは、イメージが湧かないかもしれません。
こと外壁からの断熱リフォームは、比較的最近流行り始めている工法になります。
現在居住中の方は、内壁に断熱材を入れるよりも、外壁からの断熱リフォームの方が、工事中の生活スタイルを変えることないため、こちらを選択された方が良いでしょう。
a)断熱塗料を外壁に塗装する断熱リフォーム
屋根の断熱リフォーム同様に、外壁にも断熱塗料があります。
塗料に断熱機能が加わっているもので、リフォーム内容が塗装だけであれば、施工日数もそれほど掛かりません。
緊急的に寒さ対策を講じたい方は、この方法がおすすめです。
耐用年数は15年前後と言われています。
外壁塗装を検討されるタイミングにある場合は、断熱塗料を選択されて、塗装と一緒に断熱リフォームをするのも良いでしょう。
b)外壁カバー工法による断熱リフォーム
認知度が高いのは屋根のカバー工法かもしれませんが、外壁にもカバー工法があります。
既存の外壁材の上から新しい外壁材で覆うため、断熱性が向上します。
鉄筋コンクリート造の建物で採用されることが多い工法ですが、最近は木造など工法に関わらず採用されるようになってきました。
木造住宅の場合、その構造材の面積は、全ての壁の面積のうち約20%を占めています。
壁が2枚になるカバー工法で断熱リフォームを行うことで、断熱性と気密性の確保ができます。
c)内壁・外壁両方から断熱リフォーム
内壁・外壁両方からの断熱リフォームを『ハイブリッド断熱』と言います。
これは充填断熱と外張断熱の両方を行った断熱リフォームです。
両方同時に行うことで、それぞれのメリットはそのまま活かしつつも、デメリットをカバーしあい、極限まで断熱性を高めます。
ただし、両方行うということになると、断熱材に掛かるコストや職人の手間も掛かりますので、施工日数や施工費用も高くなってしまうことがデメリットです。
◎まとめ
その昔、『内壁からの断熱リフォームと外壁からの断熱リフォームのどちらが良いか』という議論がされていた時期がありました。
しかしこれは、全く意味のない議論です。
今はどちらの断熱リフォームを選択しようとも、施工箇所に合った方法や工法を選択し、しっかりとした厚みを確保していれば、どちらか一方が劣っているということはありません。
それぞれの特徴を良く理解した上で、どの方法を選択すれば良いかという知識を持っていれば、いざという時に迷うことはないでしょう。
次回は、窓の寒さ対策について、解説します。
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