スレート屋根の正しい歩き方はある?屋根に上る危険性も解説
スレート屋根の正しい歩き方はある?屋根に上る危険性も解説
人気の屋根材の1つであるスレート屋根ですが、屋根に上った際の踏み抜き事故も発生しています。
スレート屋根の上を移動する場合、正しい歩き方はあるのでしょうか。
今回は、スレート屋根の歩き方や、屋根に上るリスクなどを解説します。
スレート屋根とは
スレート屋根は、粘板岩の薄板を使った屋根材です。
「スレート瓦」「カラーベスト」と呼ばれるものもあります。まずは、スレート屋根の種類を確認しましょう。
天然スレート
「天然スレート」は、天然の粘板岩を加工したものです。
東京駅の屋根にも使用されており、品質がよく、高級感のある屋根材ですが、天然石を加工しているので価格が非常に高く、一般的な住宅に使われるケースは少ないといえます。
化粧スレート
「化粧スレート」は、セメントに繊維状の素材を混ぜて加工したものです。
天然スレートよりも安価で、一般的な住宅には主に化粧スレートが使用されます。品質の安定性によって、よりよい作業効率を実現するのも、化粧スレートのメリットです。
化粧スレートは繊維の種類によって、次の2つにわけられます。
石綿(アスベスト)スレート
「石綿スレート」は、セメントに石綿を混ぜたスレートです。
平成18年以前は多く使用されていましたが、健康被害が懸念されたことで、「製造」「使用」「提供」が全面禁止されてからは、見られなくなっています。
無石綿(ノンアスベスト)スレート
石綿スレートに代わり、化粧スレートの主流になったのが「無石綿スレート」です。
パルプなど、石綿以外の繊維とセメントを混ぜており、デザイン性が高いのが特徴だといえます。
スレート屋根は踏み抜き事故も発生している!
屋根材のなかでも上位の人気を誇るスレート屋根は、安価で耐震性が高く、デザイン性に優れているのが魅力です。
しかし、スレート屋根の素材そのものには防水性がないため、塗装メンテナンスを怠ると劣化が早まり、ひび割れなどが起こりやすくなります。
劣化したスレート屋根に人が上ると、乗った部分にひび割れやたわみといった「踏み割れ」が起こる可能性があります。
踏み割れのトラブル事例は少なくなく、さらに劣化したスレート屋根に上って、屋根を踏み抜くほどの事故も報告されています。
令和元年9月には、台風の影響によって工場の屋根に穴が空き、点検を行っていた従業員がスレート屋根を踏み抜き、落下して命を落とす事故が発生しました。
スレート屋根に上る際の正しい歩き方
スレート屋根で起こる事故を防ぐために、厚生労働省は「労働安全衛生規則第 524 条」で、「スレート等の屋根上の危険の防止」を訴えています。
その内容は、「事業者は、スレート、木毛版等の材料でふかれた屋根の上で作業を行う場合において、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、幅が 30cm以上の歩み板を設け、防網を張る等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」というもので、もしスレート屋根に上る場合は、危険防止措置を行う必要があることがわかります。
また、スレート屋根を踏み抜かないためには、屋根の梁を歩くという方法もあります。
スレート屋根には固定するボルトが並んでおり、その下が梁になっています。ボルトを踏むとずれて雨漏りの原因になるので、梁部分を伝うのも、移動手段の1つです。
しかし、正しい歩き方や事故防止策を知っていても、知識や技術、経験のない人が屋根に上って歩くのは危険です。
歩き方はあくまで「知っておく」ことに留め、実際に屋根に上ることはしないようにしましょう。
自宅のスレート屋根に上ってはいけない理由は?
劣化により踏み抜きやすいスレート素材に限らず、修理や点検のために自宅の屋根に上るのは避けましょう。屋根に上ってはいけない理由は、大きく4つです。
傾斜があり足元が不安定
多くの住宅の屋根には傾斜がついているので、足元が不安定になります。
屋根はその上を歩くことを考えて造られていませんし、高所なのでもしバランスを崩せば、落下して大けがをしたり、命を落とす可能性もあります。
割れやすいスレート屋根、歩きにくく、ずれたり落下したりする危険性もある瓦は、特に上らないほうがよいでしょう。
風が強い
屋根の上に上っても、その高さは地上10mにも満たないケースが多いです。
しかし、遮るものがないと、風を強く感じます。さらに足元も不安定なので、うまく移動できず深刻なトラブルが起こるかもしれません。
滑りやすい
屋根が雨で濡れていたり、コケが生えていたりすると、滑りやすくなります。
傾斜があり、風がつよく、さらに滑りやすい足元は非常に危険ですので、軽率に上ってはいけない理由がわかるでしょう。
外敵がいる可能性がある
屋根の上の状態は頻繁に確認できるものではないので、雨樋付近に鳥や蜂が巣を作っている可能性もあります。
攻撃される危険性だけでなく、足元の悪い場所で予期せぬ外敵と遭遇したら、驚いて足を滑らせてしまうかもしれません。
慣れない人が屋根に上ると、さまざまなトラブルに巻き込まれることがあるので、屋根について気になることがあれば、まずは業者に問い合わせることをおすすめします。
スレート屋根の耐用年数とメンテナンス方法
薄くて軽量なスレート屋根は、住宅の耐震性を高めてくれるという利点がありますが、メンテナンスを怠ると割れたり雨漏りしたりするため、注意が必要です。
スレート屋根を検討する際は、耐用年数や寿命を迎えた際のメンテナンス方法も知っておきましょう。
スレート屋根の寿命
スレート屋根は、20年前後で寿命を迎えるといわれています。
しっかりとメンテナンスを行えば、30年ほどは使えるでしょう。
しかし、メンテナンスを行わないと10年過ぎた頃から屋根が割れたり、剥がれたりといった不具合が発生しやすくなります。
メンテナンス方法①塗装
スレート屋根の耐用年数を短くしないためには、塗装メンテナンスが重要です。
5~10年に一度塗装をすると、防水性がアップします。塗装はカバー工法や葺き替えよりも安価に行えるメンテナンス方法です。
しかし、劣化が激しいスレート屋根の施工には向かないので、劣化が進む前にこまめに塗装する必要があります。
メンテナンス方法②カバー工法
劣化が激しいスレート屋根、寿命を迎えたスレート屋根は、新しい屋根材に交換します。
その方法の1つが「カバー工法」です。
カバー工法は、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる方法で、屋根が二重になるので防音姓や断熱性が高まります。
また、既存の屋根を撤去しないぶん、施工費用を抑えることも可能です。
ただし、雨漏りが起こった場合は屋根が重なっているので、その原因を確認するのが難しいというデメリットもあります。
メンテナンス方法③葺き替え
葺き替えは、既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材にする方法です。
費用が最もかかる方法ですが、下地材の状態もしっかりチェックでき、屋根部分を一新して耐用年数も長くなるのはメリットだといえるでしょう。
しかし、塗装をしっかりしていれば、葺き替えをしなければならないほどスレート屋根が傷むケースはほぼありません。
定期的な点検で屋根の現状を把握し、最適なメンテナンスや補修の方法を選びましょう。
スレート屋根は歩き方を知っていても上らない!困ったら業者に相談を
スレート屋根は劣化によって踏み割れ・踏み抜きが起こることもあるため、上って歩くのは危険です。
スレート屋根に限らず、歩き方を知っていても上ることはしないで、気になることがあればすぐに業者に相談しましょう。
弊社でも、スレート屋根の塗装をはじめとした屋根工事を行っています。屋根に関するお悩みや疑問をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
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