【陸屋根】陸屋根のメンテナンスについて~セルフチェックポイント~
近年陸屋根の住宅が増えているようです。
陸屋根には、屋上スペースを有効活用することができたり、建築面積を広くすることができたり、メンテナンスが簡単だったりとメリットが多いのが特長です。
しかし反面デメリットとしては、夏の暑い時期は最上階の室温が上がったり、メンテナンスを怠っていることによって雨漏りしやすいという点が挙げられます。
そこで今回は、陸屋根に見られる劣化症状と、セルフチェックを行う際のチェックポイントについてご紹介します。
◎陸屋根に見られる劣化現象
①雨漏り
いくつもある劣化現象のうち、雨漏りは最も緊急性が高く、早急かつ適切な処置を施す必要があります。
雨漏りや雨染みが進行すると、建物内部へ水が浸入し、建物全体の劣化やシロアリ被害、耐久性の低下につながります。
最悪の場合、住まいが倒壊してしまう可能性もあります。
②雑草が生えている
陸屋根の隅や風溜まりの部分にゴミや土埃がたまり、そこへ風によって植物の種などが飛んでくると、そこへ雑草が生える場合があります。
雑草が生えているという場合、実は防水層まで根が伸びている可能性があります。
植物の根は非常に強く、力任せに抜こうとすると防水層が破損する恐れがあります。
躯体そのものが破損する危険性もありますので、注意が必要です。
③目地やコンクリートにひび割れがある
目地やコンクリート部分にひび割れが発生すると、防水層に水や空気が浸入してしまいます。
水や空気の侵入によって、防水層の劣化速度が早まり、放置し続けることで雨漏りの原因にもなります。
緊急性はそこまで高いというわけではありませんが、早めの対応が必要となります。
④雨水が溜まっている箇所がある
雨水が溜まっていませんか?
この原因として考えられるのは、排水口にゴミが溜まっていたり、防水の塗膜が劣化していたり、屋根の勾配不足のために水が流れなかったりというものが挙げられます。
まずは排水口の掃除をしてみましょう。
それでも改善されない場合は、業者に相談をして状況を確認すると良いでしょう。
⑤防水層に膨れている箇所がある
防水層に水が浸入すると、「膨れ」という症状が発生します。
この膨れが原因となって防水層に剥がれや浮きが起こることもあります。
放置し続けると防水層が破損し、雨漏りを起こす危険性もありますので、早めの対応が必要です。
◎陸屋根のセルフチェック項目とは?
①排水口の詰まり
まずは相手を知ることから始めてみましょう。
陸屋根をよく観察すると、升のように凹型になっていることに気が付かれると思います。
これは、陸屋根に降った雨が外壁を伝って流れ落ちないようにするためです。
屋上として利用されていなくても、陸屋根は四方が塀で囲まれたようになっています。
その内部の床面は僅かな傾斜が付いていて、雨水は排水口へ集まるようになっています。
四方を塀で囲まれた状態で排水口が詰まりを起こしたら・・・まるでプールのように雨水が溜まってしまうということが、容易に想像できるでしょう。
雨水の溜まりは、雨漏りにつながります。
また、雨水だけでなく、落ち葉やスーパーのレジ袋、砂や土、どこからか飛んできたボールなど、排水口が詰まる原因はたくさんあります。
陸屋根はもともと、水を貯めるように作られているわけではありません。
水切れが悪いと、コケやカビが発生してしまいます。
②表面の色褪せ、ひび割れなどの傷、浮き
陸屋根には防水層が設けられています。
防水層の一番表層には、トップコートが塗布されており、このトップコートによって防水層を紫外線や雨水から建物を守っているのです。
表面の色褪せ、ざらつきは、トップコートが劣化してきている証拠です。
台風など強風時に何かが飛来してきたり、陸屋根に設置されているアンテナが倒壊してしまったりすることで、トップコートが傷ついてしまうこともあります。
また、防水層の下に入り込んでしまった湿気やひび割れによって防水層が浮き、雨水が溜まってしまうこともあります。
◎メンテナンス方法
陸屋根の場合、おおむね10~15年を目安に定期的なメンテナンスが必要ですが、この場合塗装工事ではなく、防水工事を行います。
塗装工事が塗膜を形成するのに対し、防水工事は防水層を作ります。
防水層に比べ、塗膜は防水性能が劣るため、雨漏りしやすい構造になっている陸屋根のメンテナンスとしては向いていません。
陸屋根のメンテナンスには、防水性能に優れた防水工事を施す必要があります。
◎まとめ
住まいも体と同じで、悪いところは早期に発見して迅速にケアすることで、大事に至ることはありませんし、修繕費も安くなります。
陸屋根に限ったことではなく、全てのお住まいに共通して言えることでもあるのですが、定期的な点検のほか悪天候の後もチェックすれば完璧です。
しかし屋根に上るのは非常に危険です。
体調が悪くなったら医師の診察を受けるように、屋根の専門業者に点検を依頼することをオススメします。