【外壁塗料】光触媒塗料について詳しく解説!
光触媒塗料・・・外壁塗装において塗料を何にしようか検討する際、担当営業からすすめられれば検討した方が良いのか悩むかもしれません。
『プロがすすめているのなら、使いたい』と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、光触媒塗料には注意が必要です。
今回は、他の塗料と比べて注意点が多いと言われている光触媒について解説します。
◎光触媒塗料とは
光触媒塗料とは、酸化チタンを原料とした塗料です。
紫外線を浴びることで化学反応を起こして壁面に付着した汚れを分解し、雨水によって洗い流すことができます。
『雨によって、外壁や屋根に付いた汚れが落ちてくれる優れもの』ということでTOTOとオキツモの共同研究によって開発されました。
『ハイドロテクトコート』という名称で、塗料業界初の光触媒塗料として製品化され、建築用塗料や塗装業界に大きなインパクトを与えることになったのです。
しかし実際のところ、光触媒塗料は訪問販売業者がよく提案してくる塗料で、トラブルが多いという一面があります。
また、TOTOハイドロテクトコートが2017年6月26日を以って生産・販売を停止したことにより、現在はまあり使われない塗料グレードになりました。
◎光触媒塗料のメリット
①防汚性能が高い
塗料に含まれる白色顔料の原料『酸化チタン』が日光に当たると活性酸素を作り、汚れを分解します。
その分解された汚れは、塗膜が『超親水状態』という水を弾く状態になることによって、雨が降った際に洗い流します。
この2段階の流れを合わせて『セルフクリーニング機能』と言います。
さらに、このセルフクリーニング機能の効果によって除菌効果、防カビ・防藻効果もあります。
外壁はそう簡単に洗浄することが出来ない場所になりますが、セルフクリーニング機能によって汚れがつきにくい外壁となり、防汚性能が長続きするということに繋がるのです。
②空気の浄化効果
ハイドロテクトという技術を使って空気浄化を行い、建物周辺の空気を綺麗に浄化する作用があります。
使用する塗料やそのグレードによって若干違いますが、例えばTOTO光触媒塗料の中でも一番グレードの高い光触媒塗料で塗装を行ったとします。
建坪30坪(外壁面積は約150㎡)の戸建て住宅の場合、テニスコート4面分(約1,000㎡)の緑地と同じ浄化効果があります。
これは、普通乗用車12台分が排出する二酸化炭素などの窒素酸化物を除去できるのと、同等レベルです。
③遮熱機能
全ての光触媒塗料に当てはまるわけではありませんが、ハイドロテクトコートやピュアコートANプラスでは、遮熱機能によって蓄熱を抑え、放熱を減らす効果があります。
この遮熱機能によってヒートアイランド現象を軽減させる効果もあります。
④人体に影響が少ない
光触媒塗料は環境にも優しい塗料ですが、人体にも害のない塗料です。
塗料には独特のシンナー臭のするものが多く、塗装中には頭痛が起きたり、気分が悪くなったりといった健康被害が出ることがあります。
光触媒塗料は水性塗料になるため、人体に害がありません。
また原料にも含まれている酸化チタンは、ファンデーションなどにも使用されているものになりますので、肌に触れても問題ないということ。
小さなお子様や高齢の方にも優しいということが言えます。
◎光触媒塗料のデメリット
①値段が高い
光触媒塗料は、塗料の中でもグレードの高い方に分類されます。
グレードは値段にも比例していて、一般的な汎用塗料と比べると、およそ1.5~2倍程度の価格帯だといわれています。
もちろんこれには理由があり、価格が高くなる分、耐用年数も1.5倍程度伸びると言われています。
耐用年数の通り、その効果が持続するのであれば、長期的に考えたときはメンテナンス間隔が広くなりますので、コストパフォーマンスが良いと言えます。
しかし初期費用はどうしても掛かってしまうため、対費用効果がそこまで見込めないと判断される場合は、デメリットになってしまうと言えます。
②カラーや艶のバリエーションが少ない
光触媒塗料は、他の塗料と比べてカラーバリエーションや艶のバリエーションが少ない傾向にあります。
塗料の効果は、白色顔料の酸化チタンが化学反応を起こすことで機能しますので、白色顔料の使用がない濃い色をした塗料はありません。
また艶についても、艶消か5分艶の二択になります。
③建物の向きによっては効果が出にくい
光触媒塗料は、太陽光によって汚れを分解し、雨によってその汚れを流します。
ということは、太陽光や雨が当たらないと、その効果は発揮できないということになります。
例えば軒の出が多い場合や、日が当たりにくい立地にある場合などは、セルフクリーニング機能も防汚性能もムラが出るでしょうし、場合によっては逆に汚れが目立ってしまうこともあります。
④無機質は分解できない
錆、火山灰、黄砂といった無機質な汚れを分解することはできません。
また、鳥のフンや樹液といった頑固な汚れに対してはも、その効果が十分に発揮できない場合があります。
⑤塗装の工程が多い
通常塗装は3回塗りですが、光触媒塗料は4回塗りになります。
上塗り塗装をしたあとに、光触媒コーティングを施すため、工程が1つ増えるのです。
また、トップコートに塗りムラがあると、その機能を十分に果たすことができなくなる恐れがあすという理由から、下塗りからトップコートまでの工程に細かく指定があります。
工程が1つ増えるということは、工期の長さにも影響してきます。
そのため人件費や現場経費も上がってしまいますし、塗装職人にとっても『手間の掛かる塗料』というイメージがついてしまったようです。
⑥仕上がりに差が出やすい
TOTOのハイドロテクトコートは汎用塗料と比べ施工方法にクセがあるため、2014年までは認定施工店制度といって限られた塗装店しか塗装することが出来ませんでした。
そのため塗装職人がしっかりとした施工をしなければ、光触媒塗料の持つ効果も軽減してしまうということがありました。
例えば、通常手塗りのローラー塗装の場合は、ローラーをコロコロと回しながら塗装を施します。
ハイドロテクトコートは、ローラーをロックした状態で塗装を施します。
また、最初は青色ですが、あっという間に白色になるため、塗り忘れが起きるといった問題もありました。
◎光触媒塗料に関する注意点
①汚れないというわけではない
光触媒塗料のメリットとして、防汚性能が高いというものがあります。
しかし、実際には汚れます。
あくまでも『防汚』であって、『汚れない』というわけではないのです。
塗料を決める際、セルフクリーニング機能や防汚性能の高さに対しての期待が大きくなりすぎ、さらに販売する側もそれを前面に押し出すため、期待感と現実の効果にギャップが生まれてしまいます。
②ひび割れが起きやすい
光触媒塗料は塗膜がかたいため、ひび割れが発生しやすくなります。
塗料が乾燥して成膜すると塗膜が硬くなり、シーリングの上の塗膜が和図画な揺れや伸縮
に対応することができず、ひび割れてしまうという報告があります。
③耐用年数に疑問
メーカーによって発表されている塗料の耐用年数は、15~20年とされています。
しかし、TOTOの光触媒塗料に関して言えば、そこまでの耐用年数はなかったようです。
全ての光触媒塗料がそうだと言うわけではありませんが、メーカーが発表している耐久性が本当に発揮されるのかということに、疑問を感じる人は多いようです。
◎まとめ
光触媒塗料にはメリットもありますが、デメリットや注意点といったマイナスポイントが多いように感じてしまいます。
インターネットなどから発信される情報や、訪問販売業者によって表面的な説明を鵜呑みにした結果、『光触媒塗料で塗装をすれば、外壁は汚れ知らず』という期待値を持たせることになりました。
しかし実際のところは、セルフクリーニング機能はあっても、『汚れない』というわけではありませんし、実際に使用された方の実感としては『普通の外壁よりは汚れづらい』というニュアンスに近いとも言われています。
何が何でも光触媒塗料で塗装をしたいというわけでないのであれば、無理に使用しなくてもよい塗料ではないでしょうか。
『普及率が低いほうの塗料にはなるものの、光触媒塗料そのものが悪いというわけではない。諸々の条件が合うのであれば、光触媒塗料での塗装を検討する価値もある。』という程度の認識で良いかと思います。
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