外壁塗装で使われる【珪藻土】について徹底解説
家を建てる時に、外壁材の種類の多さに驚かれた方も多いと思います。
昔は一戸建ての外壁というとモルタルが主流でしたが、今はサイディングボードだけでもいろいろな種類があります。
そんな中、健康的な住まいを目指し、自然素材の外壁も最近は人気です。
そこで今回はそんな自然素材の一種「珪藻土」についてご紹介します。
「珪藻土」とは
珪藻(藻類の一種である)という植物性プランクトンの一種の死骸が化石化したものが、水底に堆積し、泥土化したものです。
ダイアトマイトとも言います。
「珪藻土」の特長
「珪藻土」は元々がプランクトン、要は植物の死骸ですから、水分や酸素を通す穴が無数に開いています。
これが、「珪藻土」の大きな特長です。
「珪藻土」はその穴を通して湿気を吸収したりはき出したりします。
「呼吸をする壁」という言葉を聞いたことはありませんか?
以前解説した「漆喰」も同じような性質がありますが、「珪藻土」は、乾燥しているときにためこんだ湿気をはき出し、湿度が高いときに再び湿気を吸収します。
このサイクルが、呼吸に例えられています。
漆喰の性質・メリットについてはこちら↓
塗装や屋根で使われる【漆喰】について徹底解説④ ~「漆喰壁」のメリット~
また、吸収するのは湿気だけではありません。
臭いや音も湿気と同じように無数に開いた穴から吸収して中に閉じこめてしまうのです。
この機能は、「珪藻土」が家の壁に塗られている限り、半永久的に自動で行ってくれるのです。
これは、梅雨や夏の湿気、そして冬の乾燥が気になる日本の住宅においては、非常に助かる機能といえます。
この「珪藻土」の自然の調湿作用により、温度までをも調節してくれるため、結露や湿害が防止されやすいという効果が期待できるのです。
また、この調湿作用は漆喰を凌ぐ能力があるとも言われます。
結露や湿害は、家を傷めるもっとも顕著なものですから、それを「珪藻土」が24時間常時自動的に行ってくれるというのは、家のもちも全く違ってくるということにもなるでしょう。
いろいろな製品にも「珪藻土」の高い機能性は、昔から重宝されいろんなものが作られてきましたので、少しご紹介しておきます。
◎耐火レンガ
◎七輪・コンロ
◎バスマット
◎コースター
◎消臭グッズ など、、、
「珪藻土」の高い耐火性を生かし、耐火レンガや七輪、コンロなどが多く作られてきました。
最近では大人気商品となった「珪藻土バスマット」。
「珪藻土のコースター」は、100円ショップにも売ってるくらい人気が定着しています。
このように「珪藻土」には私たちの生活に役立つ様々な機能があるため、身近な製品へと使われているのです。
「珪藻土」外壁のメリット・デメリット
自然素材として人気の高い「珪藻土」ですが、それを使って外壁塗装を行うメリット・デメリットについて解説します。
「珪藻土」外壁のメリット
◆室内の空気を清潔に保つ効果がある
生活をしているとさまざまなニオイを発生します。
気になるタバコやペットのニオイ、きのうの夕食時に食べた魚やお肉のニオイなど、私達が生活する上でニオイは必ず発生します。
ですが、「珪藻土」はそれらのニオイをグングン吸着し、脱臭します。
ニオイの成分は化学物質でできており、水溶性の分子に付着するように部屋のなかに存在しています。
そのため、「珪藻土」が湿度を吸着する際にニオイ分子も一緒に吸着するのです。
「じゃぁ、珪藻土が湿度を放出するときに、ニオイも一緒に吐き出すのでは?」と考えてしまいますよね。
実は、ニオイを吐き出してはいるのですが、「珪藻土」が湿度を放出する速度は非常にゆっくりとしたスピードのため、人間の鼻ではニオイを感じることができません。
人間より1億倍近くも嗅覚が優れているといわれているワンちゃんなら、もしかするとニオイを感じるのかもしれませんね。
◆火に強い
「珪藻土」は1200度前後の融点をもつ七輪やコンロ、耐火レンガに使われるほどの耐火性があります。
七輪で何か焼いても、七輪自体が燃えることはありませんよね。
「珪藻土」は非常に火に強い素材だといえます。
◆温度を調整する機能がある
「珪藻土」には目に見えない無数の穴が空いています。
この穴が部屋の湿度を快適にしてくれます。
梅雨時期など、室内の湿度が上がっている場合は、余分な湿度を「珪藻土」の穴が吸収します。
反対に室内が乾燥しているときは吸収していた湿度を室内に放出するのです。
◆体調が良くなる?!
上記にも書きましたが、「珪藻土」は空気を清潔に保つ効果、温度を調整する機能があったりだとかで、体調が良くなるという事例もあがっています。
たとえば、肩こりがしにくくなった、鼻づまりが解消、熟睡できるようになった、風邪をひきにくい、口内炎になりにくくなった、目の充血になりやすいのだが帰宅すると治る、などの効果も感じている様です。
内装の壁剤としてここ何十年も前から定着している材料の為、外壁に「珪藻土」を使うというのは、あまり馴染みがないかもしれません。
しかし、外壁塗装にも使用でき、そのメリットは前述のように色々あります。
◆どんなデザイン建築にもしっくりくる
漆喰がなめらかに塗れるのに対し、「珪藻土」は塗ると「ゆず肌」といって自然の凹凸ができるのできます。
それに味があると好む方も少なくありません。
特に、和風建築にはぴったりです。
また、「珪藻土」の色はベージュから薄いモスグリーンをしていますが、色をつけることも可能です。
そのため、洋風の家に塗装しても外壁だけ浮いてしまうことはありません。
「珪藻土」外壁のデメリット
「珪藻土」を外壁に使うことのデメリットはないのでしょうか?
メリットをいくつか見てきましたが、実はデメリットも存在します。
◆ヒビが入るリスクがある
一般的なご家庭で使われているビニールクロスの壁紙とは違い、「珪藻土」は素材がそもそも土のため、ヒビが入る可能性があります。
ヒビが入らなくても、ポロポロと粉のようなものが落ちることも・・・。
ただ、「珪藻土」の製品によっては、ヒビ割れや粉が落ちる問題を解決するための製品も販売されています。
◆シミになるリスク
「珪藻土」は室内の湿気を吸収する働きがあるので、色の濃いコーヒーやお醤油をこぼしてしまった場合はシミになる可能性があります。
万が一、色の濃いものをこぼしてしまった場合はすぐに拭き取るようにしましょう。
◎ まとめ ◎
「珪藻土」は自然素材でカラダにも心にも優しいです。
機能性が高く私たちの部屋を快適にしてくれます。
「珪藻土」でデメリットといえば、ヒビが入るなどということくらいなので、メリットのほうがより多い材料といえます。
壁の素材に悩んだら、「珪藻土」のメリット・デメリットを見て選ぶヒントにしてみてください。
御覧いただきありがとうございました。
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