【勝手口】勝手口のメリット・デメリットとは?
「窓やドアなどの開口部が多いと、それだけ風の出入りがあって寒くなりそうだから、勝手口は必要ない」
こんな理由から勝手口を設けない方がいらっしゃいます。
果たして本当にそうなのでしょうか?
そこで今回は、普段なかなかじっくりと考えることのない勝手口のメリット、デメリットについて解説します。
◎そもそも「勝手口」って何?
勝手口は昔から日本住宅において存在していました。
お勝手(=台所)にある出入り口のため、勝手口と呼ばれていますが、そもそも室町時代から台所のことを「勝手」と呼び、また茶室では茶の湯をしまっておくところを「勝手」ということから、来客があったとしてもそこで暮らす人が人目につかず出入りする場所として「勝手口」と呼ぶようになりました。
ちなみに、「勝手」は弓道の専門用語に由来しています。
弓を持つ左手を「押し手」、弦を引く右手を「勝手」と呼びます。
固定させる押し手に対し、弦を引く右手はある程度の自由が効きます。
そこから「勝手=自由=好きに出来る」という意味合いがあり、今でも使われています。
◎勝手口のメリット
①キッチンから外へ出やすくなる
もし家の出入り口が玄関だけだったら?
外出する際は、必ず玄関へ回らなければいけません。
遊びや仕事などで長時間留守になるため、1日1回しか出入りしないというのであれば、さほど問題ではないかもしれません。
しかし、ゴミ出しに行ったり、隣へ回覧板を届けに行ったりといった「ちょっとしたお出掛け」でもわざわざ玄関に回る必要があり、それはかなり面倒な作業になる場合があるでしょう。
キッチンはゴミ出し作業や買出ししてきた食材の搬入など、意外と出入りしなくてはならない用事が多いものです。
食材の搬入はともかくとして、ゴミ出しの場合は生ゴミを持ったままキッチンから玄関まで通ると、そのルートは生ゴミの臭いが充満してしまうかもしれません。
②玄関代わりとして使うことができる
玄関以外の外へ出られる場所である勝手口。
その特性を活かして、日常的に玄関として使用している人もいます。
大きな住宅になると、玄関は大きく豪華な造りになっている場合が多く、そのため「来客用の出入り口」と考え、普段は使用しないというケースもあります。
そのような場合は、勝手口と言っても一般家庭の玄関レベルのサイズであることが多いため、勝手口を出入りするための玄関として使用します。
このような使い分けをすると、玄関は綺麗で清潔な状態を保っていますので、いつでも来客に対応することが可能となります。
③採光と採風が可能となる
建築の分野で勝手口はドアではなく「窓」のくくりに入ります。
勝手口があるということは、キッチンに窓や扉があるということになりますので、採光と採風が可能になります。
キッチンや冷蔵庫や食器棚といった大きな設備があることで、どうしても殺風景になりがちな場所です。
勝手口があれば自然光を取り入れることが出来ますし、ドアのデザイン次第でとてもお洒落に仕上がります。
また、出入りをする度に外の空気を取り入れることが可能となりますので、どうしても篭りがちなキッチン特有のニオイや湿気を換気することも可能です。
換気扇とは違い電気も使わず、効率良く空気の入れ替えをします。
④生活動線を増やすことが出来る
特に大人数で暮らしている場合に当てはまるのですが、出入りする場所や時間帯によって、家の中で渋滞を起こすことはありませんか?
これは、室内の生活動線が大きく関係しています。
勝手口があれば出入りする手段が増えますので、外出時の渋滞緩和を図ることができるでしょう。
また、ゴミ出しなど勝手口からの出入りの方が便利な動作をしているときは、その間他の家族の出入りを邪魔することもありません。
◎勝手口のデメリット
①空き巣の侵入ルートになる場合がある
空き巣が住宅へ侵入する手口として多いのが窓ですが、次に多いのは表の通りから見えにくい位置にある勝手口です。
また勝手口に使用されているドアは基本的にシンプルなものが多く、ピッキング行為やガラスを割るなどして、簡単にドアを開けることが出来てしまいます。
玄関や窓の防犯対策に気を付けている方は多いですが、勝手口は何故か防犯対策が行き届いていない場合が多いというのが実情です。
空き巣もその特徴を理解しているからこそ、勝手口は狙われやすい傾向にあります。
②虫が入る
勝手口を開ければ風が通り、自然換気にもなるのですが、その分虫が入り込んでしまいます。
キッチンは生ごみや油など、虫の大好物がたくさんある場所です。
また調理のたびに火を使ったり、オーブンなどの家電製品の使用でキッチンが暖かくなると、虫が集まりやすい条件になってしまいます。
勝手口用の網戸を設置するなどの対策を講ずると良いでしょう。
③冬は寒い
築年数に関係なく、リビングは日当たりの良い南側、キッチンは日当たりの悪い北側に位置していることが多いです。
キッチンには暖房器具が設置されていない場合が多く、エアコンをつけても足元は冷えるばかり。
そのうえ勝手口は大きな開口部となりますので、どうしても寒さを感じてしまいます。
仮に冬場は勝手口を閉め切ってしまうという手もありますが、その間は生活スタイルや生活動線が変わることになりますし、サッシからの隙間風は防ぎようがありません。
◎まとめ
マンションなどの集合住宅では玄関のみで、勝手口がないというケースが多いですね。
そもそも勝手口は必要か、そうでないかというのは、そこで暮らす人の価値観や使い方によって違います。
生活の中でキッチンと外の出入りが多いという方や、駐車スペースからキッチンまでの距離が近い場合は、勝手口を有効活用できる可能性があります。
今現在、勝手口を持て余し、デメリットの方が目立っているという方は、他の利用方法は無いかどうか考えてみても良いかもしれません。