【ベランダの防水】一見似ている?!FRP防水とウレタン防水の違いとは?
ベランダやバルコニーの防水工事の方法で、FRP防水というものがあります。
FRPとは繊維強化プラスチックス(Fiber Reinforceed Plastics)の略称で、プラスチック材料の中でも耐衝撃性に強く、耐水性や摩耗性が高いところから、建材としては木造住宅や駐車場などに、成形品ではボート、自動車のボディパーツ、バスタブ、ヘルメットなどに幅広く利用されています。
同じくベランダやバルコニーの防水工事で、FRP防水に見た目似ている「ウレタン防水」というものもあります。
ウレタン防水は、ウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成する防水工法です。
液体状の材料を使って現場で仕上げる工法なので、FRP防水同様、複雑な形状をした場所でも継ぎ目のないフラットな防水膜を加工できます。
今回は「FRP防水」と「ウレタン防水」の違いについて解説していきます。
まずは、FRP防水の特徴についておさらいです。↓
【ベランダの防水】防水工事における「FRP防水」について解説します!
ウレタン防水とは
ウレタン防水(正式名称:ウレタンゴム系塗膜防水)とは、液体状のウレタン樹脂を塗布し、その材料が化学反応して固まることによってゴム状で弾性のある防水膜ができる、といった防水工法です。
液体状の材料を使用し現場で塗る工法なので、複雑な形状をした場所でも、シームレスで継ぎ目のない防水膜を形成できます。
屋上・マンションの開放廊下・階段室、ベランダ・ルーフバルコニーなどさまざまな場所に施工されており、歩行用から運動用まで様々な仕様目的に対応できる特徴があります。
下地の種類や状態、使用される用途によって、密着工法・通気緩衝工法・機械的固定工法の3種類の工法があります。
ウレタン防水とFRP防水の違い
◆ウレタン防水の特徴
先ほども記述しましたが、ウレタン防水とはウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成する防水工法です。
弾力のある防水層で、その柔軟性から地震等で動く建物でも対応できます。
屋上・陸屋根などの広面積への施工も可能ではありますが、摩耗性・耐久性はFRP防水に劣ります。
施工後の表面は非常に滑らかでとても綺麗です。
ウレタン防水の施工方法は3つありますが、今回はそのうちの代表的な工法の2つをご紹介します。
①「密着工法」
ウレタン防水材を下地に直接塗り、、メッシュのような補強布を貼り付け、その上からさらにウレタン防水材を所定の厚さになるまで塗り重ね、最後にトップコートで仕上げる工法です。
工期が比較的早く、工事費用を安く抑えることができますが、下地の状態が良い場合にのみ使用される工法です。
②「通気緩衝工法」
裏側に溝がある通気緩衡シートを貼り付け、その上からウレタン防水材を塗ります。
初期費用は密着工法と比べて高くなりますが、長年にわたって下地に侵入している水分があるなど、下地の状態があまりよくない場合は、通気緩衝工法で工事することによって、下地に含まれた水分をシートの溝を通り道にして脱気装置で外部に逃がし、防水の施工ができるようします。
◆FRP防水の特徴
FRP防水は、ポリエステル樹脂の上にガラス繊維で出来たマットを敷いてから、再度、樹脂を塗布し固めます。
このガラスマットの密度によって1枚で防水層を形成する「1プライ」と2層形成する「2プライ」工法かに分かれます。
FRPは軽量ではありますが硬く、ウレタン塗膜防水ほど伸縮性には優れていませんので、指で押しても弾力はありません。
また軽い特性から施工ができるといわれている木造住宅でも、バルコニーやベランダといった狭小面積への施工が主で、広い面積や下地が鉄の場合にはFRP防水は適していません。
仕上がりはウレタン防水と同様、つなぎ目のない滑らかな状態になりますが、FRPの場合ガラス繊維を使用しているため、表面が過度に摩耗すると、ざらつきのある繊維が見られるようになります。
どちらの工法も材料が液体ですので多少の凹凸があっても施工でき、仕上がりも継ぎ目がなく非常に綺麗なのですが、施工面積や下地によって採用できる工法が異なってきます。
また、どちらも紫外線で劣化してしまうため、防水層を形成した後にトップコートと呼ばれる保護塗料を塗布する必要があります。
耐用年数と施工不良
ウレタン防水・FRP防水のどちらも耐用年数は10~15年程度ですが、施工不良で下地に水分が含まれていると蒸発した際に塗膜に膨れやシワを起こすことがあります。
施工不良が見られるお住まい、築20年以上経過しているお住まいや雨漏りを起こしてしまったお住まいがそれに該当します。
ウレタン防水とFRP防水の比較表です。
参考にしてください。
ウレタン防水 |
FRP防水 |
||
密着工法 |
通気緩衝工法 |
||
寿命 |
10年~15年 |
||
費用(1㎡) |
3,000~4,500円 |
5,500~7,500円 |
4,000~8,000円 |
メリット |
・複雑な部位への施工が可能 ・費用が安い ・弾力性がある |
・通気緩衝シートが水分による膨れを防止 ・弾力性がある |
・すぐ乾くので工期が短い ・軽くて耐熱性、耐久性に優れる |
デメリット |
・乾燥期間が各工程で必要なため工期が掛かる |
・コストが少し高い ・乾燥期間が各工程で必要なため工期が掛かる |
・コストが高い ・臭いがでる |
◎ まとめ ◎
いかがでしたか?
今回はウレタン防水とFRP防水の違いについて解説しました。
メンテナンスは早めの方が費用も安くなります。
雨漏りしていなくても、ベランダやバルコニーなど目視可能な箇所は定期的に劣化症状がないかチェックしましょう。