【コーキング②】コーキングが使用されている箇所を見やすく解説
前回の【コーキング①】では、そもそもコーキングとは何なのか?その概要と、コーキングが担っている役割、そしてコーキングとシーリングの違いについて解説しました。
一見頼りなさそうに見えるコーキングですが、建物の気密性、防水性、クッション性を維持していましたね。
今回は、お住まいのどこにコーキングが使用されているのかを解説します。
◎外回りで使用されているコーキング
①サイディング外壁
サイディングとは、外壁に使用する外装材のことを言います。
その昔、壁というのは職人さんの手によって『塗る』というのが主流でしたが、サイディングは工場で作られたサイディングボードを『貼る』という手法を取ります。
2枚の紙をセロハンテープで貼ろうとした場合、どんなに頑張っても僅かな隙間が生じてしまいますね。
それと同じように、貼られたサイディングとサイディングの間には、隙間があります。
その継ぎ目に充填することで、サイディングボード同士の膨張と収縮を受け止めるクッションの役割や、隙間から雨水が浸入しないよう防水の役割があります。
②窓などのサッシ周り
窓はぽっかりと開いた外壁部分に、サイズの合った窓枠をはめ込んで設置します。
その際、やっぱり生じてしまうのが窓枠と外壁との隙間です。
窓を設置する際に生じてしまう隙間をしっかりと埋めることで、雨水の浸入や隙間風などの侵入を防いでいます。
③玄関や勝手口などの建具周り
窓や玄関、そして勝手口などの開口部でも、コーキングが充填されています。
ドアを設置する際に生じてしまう隙間を埋め、雨水の浸入や隙間風などの侵入を防ぎます。
④ベランダ
ベランダではも、主に手すりなどの金属部分や、立ち上がり部分にコーキングが使用されています。
金属部分のコーキングが劣化している場合は、そこから雨水が入り、さびてしまいます。
さびてしまったベランダ手すりは落下の可能性があるため、大変危険です。
また、雨漏りの心配もあります。
ベランダの下がリビングなどの居住スペースであれば、雨漏りの被害は大きなものになってしまうでしょう。
⑤笠木(屋根など)の継ぎ目
笠木(かさぎ)とは、屋根、塀や手すり、腰壁などの最上部に被せる仕上げ材のことを言います。
室内では階段の手すり壁や、対面キッチンの腰壁などに笠木が取り付けられていますが、室内の場合は意匠性や機能性を持たせるためのものだと考えてください。
屋根や塀、ベランダの手すりなど、屋外における笠木には、防水性を高めるための役割が求められています。
笠木に使用されるのは、防水性の高いガルバリウム鋼板やステンレス、アルミなどの金属製ですが、その部材同士が重なる継ぎ目部分がしっかりと埋められていないと、防水性は著しく低下し、雨水が浸入してしまいます。
⑥玄関タイル
玄関タイルにも、左官材やコーキングが充填されています。
タイルとタイルを接着し、また生じる隙間を埋めるという役割を担っています。
コーキング処理が適切に施されていないと、玄関タイルから水が浸入したり、日々の負荷によってひび割れが生じたりする場合があります。
⑦煙突
住宅街で煙突があるお宅はあまり見掛けませんが、少しだけ郊外に足を伸ばせば煙突のあるお家を見掛けることがあります。
薪ストーブや暖炉のあるお家には、煙突がありますね。
煙突は壁や屋根に穴を開けて、筒を通しますので、そこにもコーキングが必要となります。
煙突の継ぎ目に使用されているコーキング剤には、雨水の浸入を防ぐ防水性の役割もありますが、通常使用されているものに比べ耐火性のある物が使用されます。
◎水回りで使用されているコーキング
①浴室内
(浴室タイル)
(浴槽周り)
タイル式の浴室の場合は、タイルとタイルの間を繋いでいるのがコーキングになります。
ユニットバスでは、浴槽と壁、浴槽と床など、コーキングによって部材を繋いでいます。
シャワー等の水分が内部に侵入しないように、防水性の役割を担っています。
②洗面台
洗面台でもコーキングが充填されている箇所があります。
洗面台と壁の間に充填されたコーキング剤は、隙間を埋めるという役割と、水分が隙間に入り込み、内部への侵入を防いでいます。
③キッチン
調理台と壁の隙間や、ガス台と壁の隙間にコーキングが使用されています。
隙間を埋めることで水分が中へ浸入するのを防ぎ、防水の役割を担っています。
◎内装で使用されているコーキング
①壁紙同士の継ぎ目
新築で建てたときは、壁紙には隙間もなく、とても綺麗な状態だと思います。
しかし築年数の経過や日当たりの良いお部屋などの場合、徐々に壁紙の継ぎ目や端に隙間があいてきます。
この継ぎ目を埋めるために、コーキングが使用されています。
壁紙が早期に剥がれるのを防ぎ、美観の維持をします。
◎まとめ
生活の中に溶け込んでいるからなのか、普段そこまで意識していないのか、いずれにしても建物内外の至るところでコーキングが使用されているということが分かります。
これまで意識していなかった部分だからこそ、セルフチェックをして、コーキングの状態を確認してみましょう。
次回は、コーキングの劣化症状と補修について解説します。
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