【屋根のタイプ】陸屋根って何? 陸屋根について詳しく解説します!
これまで屋根のタイプシリーズとして、『切妻屋根』、『片流れ屋根』、『寄棟屋根(方形屋根)』と解説してきました。
他にはどのような屋根のタイプがあるのでしょうか。
今回は、片流れ屋根と同様に人気の高まっている陸屋根について解説します。
【屋根のタイプ】寄棟屋根(方形屋根)について知りたい方はこちらから
◎陸屋根とは
屋根というと勾配(傾斜)がついているのが一般的ですが、陸屋根には勾配がなく、水平です。
以前はビルやマンションといった集合住宅で、陸屋根を見ることがほとんどでしたが、最近では一戸建て住宅でも用いられることが増えています。
そして屋根が水平ということで切妻屋根や片流れ屋根、寄棟屋根(方形屋根)とは根本的に異なるため、長所短所も異なったものとなっています。
◎陸屋根のメリット
①すっきりとした外観になる
戸建て住宅において、陸屋根を取り入れたいと思われている方の多くが魅力を感じているのが、すっきりとした外観です。
傾斜のついた屋根がないということは、見た目がすっきりするだけでなく、外壁の素材や色によってモダンさや、スタイリッシュさも演出することが出来るということが言えます。
陸屋根だからこそ生み出せる意匠性の高さがあります。
②屋根部分を屋上スペースとして活用できる
通常、屋根の上を歩くことは大変危険な行為になりますので、こちらのブログでも『決して屋根に上がらないでください』と度々お願いをしています。
ですが、陸屋根だけは別です。
屋根が水平なため、部屋からつながっていれば歩くことが出来ます。
また歩くだけでなく、例えば洗濯物スペースとして実用的な使い方もできますし、お子様や大切なペットの遊ぶスペースとして、ガーデニングや家庭菜園、バーベキューといった趣味を楽しむスペースとして・・・その活用方法は無限に広がります。
土地面積や駐車スペースなどの問題から、1階部分にお庭を広く取りづらい場合は、陸屋根にすることで広々とした屋外スペースを確保することが可能です。
③居住空間を広く確保できる
例えば切妻屋根や寄棟屋根(方形屋根)では、屋根に傾斜がついていることで、屋根裏スペースが小さく斜めに削られてしまいます。
陸屋根の場合は屋根が水平なため、居住空間をギリギリまで広く確保することができます。
建築基準法において斜線制限が掛かってしまう場合は、むしろ屋根に傾斜がついている方が法的制限内で居住空間を最大限取ることができますが、そうでない場合であれば陸屋根の方が有利だと言えます。
④メンテナンスがしやすい
安心安全な暮らしを長期間維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
塗装リフォームを例に挙げると、屋根も外壁も、概ね10年前後が塗替えのタイミングとされています。
傾斜のある屋根の場合は、足場を設けての作業になるため、どうしても大掛かりになってしまいますし、手間も時間も掛かってしまいますが、屋上につながる階段があり、直接屋上に上がることのできる陸屋根であれば足場設置も必要ありませんので、点検などのメンテナンスも気軽に依頼することができます。
また、雨樋や排水口などに落ち葉や汚れなどが詰まってしまうことがありますが、陸屋根の場合は自分で簡単に掃除をすることが出来ます。
日々のちょっとしたメンテナンスや掃除の積み重ねが、建物の長期的な維持や安心安全な暮らしに繋がるのです。
◎陸屋根のデメリット
①夏場の暑さ
夏の日差しが強い季節は、屋根の真下にある部屋は非常に暑くなってしまいます。
切妻屋根や寄棟屋根(方形屋根)であれば、屋根裏空間が緩衝帯の役割を果たしますので、屋根からの熱は居住空間に伝わりにくくなります。
しかし、最上階の天井部分と屋根の床部分がイコールとなる陸屋根の場合、平らな屋根の形状が太陽の熱を全面で受け、室内が暑くなりすぎてしまうというデメリットがあります。
この対策として、例えば屋根に直射日光が当たらないよう、屋上部分を緑化するなどして対応するという方法があります。
②ソーラーパネルの設置にコストが掛かる
ソーラーパネルは、屋根に傾斜がついているからこそ、その効果を発揮します。
しかし、陸屋根には傾斜がありません。
どうしてもソーラーパネルを設置したいという場合は、太陽の向きに合った角度をつけるため、専用の架台が必要となります。
その分、設置に関する費用は通常よりもやや割高になってしまうという点は頭に入れておかなくてはいけません。
③雨漏りのリスク
陸屋根は勾配のない水平な屋根ですが、それでも当然、屋根に降った雨がきちんと流れるよう、若干の勾配がついています。
しかし、勾配がしっかりとついている他の形状の屋根と比べると、どうしても雨が溜まりやすい傾向があり、屋根材の種類によっては豪雨や台風の際に十分な防水性能の維持が難しくなってしまいます。
使用する屋根材も、スレートや瓦など、設置した際に比較的隙間があり、屋根材の下に水が残ってしまいやすいものは避けた方が良いでしょう。
防水処理や点検・雨漏りに対する対応は、他の形状の屋根よりもしっかりと行っていく必要があります。
逆転の発想をすると、そうしてこまめに雨漏り対策を行っていれば、長期間雨漏りのリスクを抑えることができますし、万が一雨漏りが発生しても、その被害を最小限にとどめることができます。
屋上スペースを有効活用する場合には、排水口や排水路の整備をし、排水性をしっかりと高めておくことも重要です。
妥協することなく、しっかりと対策をしていきましょう。
◎まとめ
屋根の傾斜がある『切妻屋根』、『片流れ屋根』、『寄棟屋根(方形屋根)』とはまた違った特長やメリット・デメリットだったと思います。
例えば地上のお庭でバーベキューだと、煙やニオイなどが近隣へ流れてしまわないだろうかと気になると思います。
空気は上へ流れますので、陸屋根であれば屋上スペースで気兼ねなく楽しめるのではないでしょうか。
洗濯物スペースにしろ、ガーデニングにしろ、寛ぎスペースにしろ、空や風を間近で感じることが出来る生活は、気持ちの余裕も生まれるように思います。