【モニエル瓦】モニエル瓦とは?メリット・デメリットについても徹底解説!~屋根リフォーム~
屋根材で利用されている瓦は、粘土瓦、セメント瓦、コンクリート瓦などさまざまな種類の瓦があります。
その様々な瓦の中に日本でよく見かける人気の瓦、「モニエル瓦」というものがあります。
「モニエル瓦」は他の瓦と比べて特殊な処理を施しているので耐熱性や断熱性が高く、色も豊富です。
今回は「モニエル瓦」の特徴、メリット、デメリットなどについて徹底解説いたします。
モニエル瓦とは
モニエル瓦は、コンクリートを着色用のセメントで色付けをおこなったコンクリート瓦です。
瓦の表面に「着色スラリー(瓦に色をつけるために使われる、セメントでできた着色剤)」や、アクリル樹脂系の「クリアー塗料」を塗ってあるなど、他の瓦にない特殊な処理をしているので雨や風に耐えることができ、断熱性も高く人気のある瓦です。
また、モニエル瓦の製造過程では、発がん性があると言われるアスベスト(石綿)も一切使っておらず、陶器の瓦の様な焼成加工も不要なので、二酸化炭素の発生も最低限に抑えています。
この様な理由から、環境に優しい屋根材とも言われています。
「モニエル瓦」という名称は、日本モニエル株式会社が製造していた商品名からきていて、当時高いシェアがあったため一般的な呼び名として広がりました。
正式名称は乾式コンクリート瓦です。
乾式コンクリート瓦には、モニエル瓦のほかに、アサヒ株式会社のスカンジア瓦やケイミュー株式会社のクボタ洋瓦という商品もあります。
ですが、現在はいずれも生産中止となっており、新築で用いられることはありません。
モニエル瓦のメリット
①防水性と断熱性が高い
モニエル瓦は、先にも記述しましたが特殊な塗装効果で、強い雨や風にも耐える強度を持っています。
そのため、防水性や耐火性に優れています。
②遮熱性や防音性に優れている
モニエル瓦は素材自体が頑丈にできています。
遮熱効果があり、防音性にも優れているため、雨音や雑音も気になりません。
③デザイン性が高い
モニエル瓦は和型や洋型などの様々なデザインがあり、多様性がある屋根材です。
また、着色スラリー利用しているため、他の瓦よりも豊富な色があります。
モニエル瓦のデメリット
①重量が重い
モニエル瓦は主成分がセメントのため重い屋根材です。
金属屋根の重さは1平方メートルあたり約5キログラム程と言われれいますが、モニエル瓦は1平方メートルあたり約43キログラムと、8倍もの重さがあります。
そのため耐震性が低いという特徴があります。
②メンテナンスに注意が必要
モニエル瓦は着色スラリーを利用しているため、他の瓦と違ってスラリー層と呼ばれる層ができています。
瓦が劣化して再度塗装する際は、このスラリー層と仕上げクリヤー塗装を綺麗に取り除かなければならないため、高度な技術が必要となります。
その処理を不十分な状態で行って再塗装をした場合、1~2年で塗膜が剥離する恐れがあります。
また、モニエル瓦本体そのものには防水性がないため、塗装のコーティングが剥がれた状態が長く続くと水が染み込むことがあります。
そのため、ほかの瓦よりもモニエル瓦はカビやコケが発生しやすくなります。
また、現在は生産されていないため入手困難な瓦でなので、地震や滑落などで割れても交換が難しいとされています。
③モニエル瓦には専用の塗料を
モニエル瓦には専用の塗料があるため、他の瓦塗装を使用することができません。
専用ではない塗料を塗った場合、早めに劣化してしまう可能性があります。
モニエル瓦の形状は4種類
①和型
波のような自然なカーブをしています。
湾曲している部分が通気性を確保し、雨や雪もうまく滑らせます。
また、空気の層を作ることによって、外気温が伝わりにくくなっています。
②洋型
立体的なフォルムで、和風よりも洋風の家に適しているため、近年の住宅でよく使われています。
③平型
凹凸の少ない形状をしていて、屋根が広く大きく見えます。
和風建築だけでなく、洋風建築にも使われることが多いデザインです。
④S型
南欧風の大きく波打った形状をしています。
陰影が美しいデザインで、和形のように通気性と断熱性に優れています。
モニエル瓦はセメント瓦と見た目がよく似ています
コンクリートでできているモニエル瓦は、瓦の小口といわれる部分の切り口がギザギザになっているのが特徴です。
逆にセメント瓦は、小口の切り口部分がツルツルとした切り口になっています。
モニエル瓦の切り口
セメント瓦の切り口
◎ まとめ ◎
瓦にもさまざまな種類があり、モニエル瓦は耐水性や断熱性にも優れている人気の瓦です。他の瓦と比べて色の種類が豊富なため、自分好みの瓦を見つけることができるでしょう。
ただ、モニエル瓦を長持ちさせるには塗装が必要です
モニエル瓦の塗装を正しく行うためには、徹底したスラリー層の除去が必要で、モニエル瓦に適した専用の塗料を施さなくてはなりません。
もしモニエル瓦の劣化を確認したら、一度業者に相談することをおすすめします。
次回はモニエル瓦の劣化症状、塗装について解説いたします!
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