【屋根工事】屋根の「カバー工法」とは?費用は?メリット・デメリットも徹底解説!
屋根は住宅の寿命を守る重要な場所です。
しかし、普段あまり目にする部分ではないので、屋根がどのような状況になっているかはよくわかりません。
気が付くと何もしないまま、長い月日が経っているということも珍しくないと思います。
日々の雨風に直接さらされる部分であり、台風や地震の多い日本では、屋根をしっかりとメンテナンスしてあげることが、住まいの寿命を延ばすことにつながります。
劣化などで屋根の機能が低下している場合、できるだけ早めの修理が必要です。
屋根のリフォーム方法には大きく分けて、「葺き替え」と「カバー工法」とあります。
今回は「カバー工法」の特徴、メリット・デメリット、そして費用について解説いたします。
まずは、前回の「葺き替え工事についてのブログ」でも記述した、屋根工事を検討するタイミングについておさらいです。
屋根工事を検討するタイミングはいつ?
屋根材に下地には寿命があり、何十年も住む中で必ず屋根リフォームを行わなくてはいけないタイミングが訪れます。
①屋根材が寿命を迎えている
雨や風、紫外線など自然の影響を最も受けやすいのが屋根です。
そうした自然の影響をもろに受けることによって日々経年劣化を進めています。
スレート屋根・・・・ひび割れ、反り
金属屋根・・・・・・錆、錆による穴あき
セメント瓦・・・・・割れ、欠け、
屋根材によって症状は様々ですが確実に寿命が訪れます。
そうなってしまうと、雨風からお住まいを守る事が困難となる為、葺き替えや屋根カバー工法を検討するタイミングになります。
屋根の寿命
いぶし瓦・・・30年~50年
セメント瓦、モニエル瓦・・・30年~40年
スレート・・・20年~30年
アスファルトシングル・・・10年~20年
トタン・・・15年~20年
ガルバリウム銅板・・・25年~35年
※屋根材の寿命は環境によって異なります
②雨漏りが発生
すべての雨漏りに、葺き替えや屋根カバー工法が必要というわけではありません。
台風や強風などといった自然災害によって屋根の一部が壊れたといったような場合は、被害箇所の補修のみで済みます。
しかし、新築から15年、20年経ったある日、経年劣化による不具合箇所から突然雨漏りが始まった、また直しても直しても雨漏りが再発するといった場合は屋根に不具合があり、それが全体に及んでいる可能性があります。
カバー工法とは?
既存の屋根の上に、防水シートと新しい屋根を乗せてかぶせる方法です。
屋根カバー工法は「重ね葺き」とも言います。
カバー工法は、新しい屋根材を取り付けるという点では葺き替えと同じで、屋根材の費用は掛かかりますが既存の屋根を残しますので撤去費用がかからず、低コスト、短い工期でリフォームできます。
しかし、屋根の重量増加や、既存の屋根の劣化が激しい場合にはカバー工法はできません。
カバー工法は葺き替えと違って、施工する屋根を選ぶという特徴があります。
それは既存の屋根に新しい屋根材を新設することにより屋根の重量が増すためです。
そうしたことから選べる屋根材も限定的(多くのケースで金属屋根)になります。
カバー工法のメリット
①リフォーム費用が安い
カバー工法は、元々あった屋根の上に新しい屋根材を重ねるだけの工事のため、古い屋根材を撤去するための人件費・廃材処分費が殆ど発生しません。
また、カバー工法はお住まいの条件によっては足場を必要としない場合もあり、その場合は足場の費用も必要ありません。
葺き替え工事と比べて、大体50万円~ぐらいは安い費用で工事できます。
②工期が短い
葺き替え工事の場合は、古い屋根を取り外す時に養生をする必要があります。
カバー工法ではそれを省略することができます。
通常、葺き替えの場合は工事期間が7~30日程かかりますが、カバー工法であれば約5~14日でリフォームが完了します。
③断熱効果、遮音性、防水性は向上する
既存の屋根と新しい屋根の二重構造になるので、断熱性や遮音性、防水性が高まります。
特に、現在ガルバリウム屋根で雨音が気になっているという方にはおすすめです。
④ちりや埃、騒音などのトラブルが少ない
屋根を交換する際に、ホコリや騒音に悩まされることが多く、近所とトラブルになってしまうことがあります。
カバー工法であれば、工事中に騒々しい音やチリが発生するリスクが少ない上、工期が短いので、周囲の方に迷惑をあまりかけずに済みます。
➄アスベスト廃材撤去費用対策
2004年以前、スレート屋根の材料にはがんの原因になりやすいアスベスト(石綿)が使用されていました。
現在は製造・販売・使用共に中止になっていますが、まだ屋根にアスベスト材が含まれている建物も残っています。
しかし、アスベストの処分費用は高額で、解体時にはアスベストが近所に飛散しないよう対策をしなくてはなりません。
カバー工法なら、屋根を壊すことなくリフォームできるため、このようなリスクがありません。
※アスベストが含まれているから危険というわけではありません。
カバー工法のデメリット
①屋根瓦には対応できない
カバー工法は、元々ある屋根の上にフラットな金属屋根材を固定する工法です。
なので、波型の形状の屋根、厚みがある屋根材の上には、固定することが難しく、陶器やセメントで作られた日本瓦の屋根は、カバー工法には不向きです。
瓦棒屋根の場合、カバー工法が不可能というわけではありませんが、思い切って葺き替え工事を行うのが効率的と判断されることが多いです。
②屋根が重くなる
カバー工法は屋根を二重にするだけあって、屋根全体の重量が増加します。
とは言っても、金属屋根はかなり軽量です。
ガルバリウム鋼板などの軽量な屋根材を選択すると良いでしょう。
③内部の補修が必要な屋根には施工できません
屋根の下地や内部が劣化している場合は、その上から新しい屋根をかぶせる事はできません。
下地から劣化している屋根の場合、まずは補修をします。
また、下地材が古くなっている場合も、雨水などを吸収して腐食していく可能性があるため、葺き替え工事で施工することになります。
カバー工法の耐用年数
カバー工法でリフォームした屋根の耐用年数は、だいたい20~25年です。
メンテナンスは葺き替えをした屋根とほぼ同じで、10年に1回程度で良いと思います。
一度カバー工法を行った屋根を、3重以上にする例はあまりないため、今後も長く住み続ける場合、20~25年後には屋根を撤去するかもしれないという点についても考慮しておくことも重要です。
カバー工法にかかる費用
カバー工法の費用は一般的に60万~150万ほどかかります。
葺き替えにくらべ、廃材費用が不要な点が大きく影響しています。
工程 |
内容 |
平均単価 |
新設屋根材施工費 |
スレート |
5,000~7,000円/㎡ |
ガルバリウム銅板 |
6,500~8,000円/㎡ |
|
屋根下地補修費 |
下地補修 |
1,500~2,500円/㎡ |
防水シート費 |
防水シート |
500~1,500円/㎡ |
足場仮設・撤去費 |
工事する為の足場設置・撤去 |
700~1500円/㎡ |
各種板金工事 |
棟板金など |
2,000~11,000円/㎡ |
運送費 |
屋根材、材料運搬 |
20,000~40,000円/一式 |
管理費 |
人件費 |
20,000~40,000円/一式 |
※屋根の形状や広さ、既存屋根材の種類、業者や住んでいる地域など、条件によって値段が変わってきます。
◎ まとめ ◎
屋根のリフォームを検討する際、まずは屋根がどのような状態になっているかを専門の業者と確認することが必要です。
雨漏りがある場合は放置しないで、すぐにリフォームを実施すれば、被害は最小限で済みます。
葺き替え工事同様、屋根カバー工法にもメリットもあれば、デメリットもあります。
カバー工法が適さないケースもあるので、まずはリフォーム業者に相談してみることをおすすめします。