【シート防水】防水工事の正しい工法を徹底解説
ここの所、【FRP防水 】【ウレタン防水】と、防水工事の工法をご紹介して参りましたが、今回は【シート防水】について、解説したいと思います。
【シート防水】とは・・・
【シート防水】では、専用のシートを、専用の接着剤や機械で施工箇所に固定し、水の侵入を防ぐ工事です。
耐久性に優れているので、最大で15年程長持ちすると言われています。
何度も足場を建てるのが難しいマンション、ビル、アパートなどにおすすめです。
シートは主に、「合成ゴム系のシート」、「塩化ビニール系のシート」で、
それぞれのシートに以下のような特徴があります。
1)合成ゴム系シート
ゴムシートそのものは安定した分子構造を持ち、ゴムのため伸縮性が高く、耐候性にも優れますが、シート同士の接着は接着剤と粘着テープによるので、溶融一体化しないという特徴があります。接着剤の性能がそのまま防水の性能となる傾向がありますので、接着剤自体の耐用年数も関係してきます。
厚みが薄いので、やや損傷しやすいのも特徴です。
ですが、コスト面で比較的安価であり短工期で済む工法なので、目立ちにくいところの工事や、応急処置としては、最適な防水工事といえます。
また、軽量であるのも大きな特長で、上に保護層を塗れば軽歩行も可能です。
軽量という点では、木造建築にも向いています。
<メリット>
① 伸縮性と耐候性に優れている。
② 比較的安い価格
③ 工期が短く済む
④ 軽度のひび割れにも対応している。
➄ 温度による物性変化が少ないので、施工地域による制約も少なく、耐用年数も長い。
<デメリット>
① 防水層が薄いため、表面に損傷を受けやすい。
② 塩化ビニール系シートに比べると耐候性が劣る。
③ しっかり密着させるため、下地が平らである必要がある。
複雑な形状には不向き。
➄ 工法の種類によって施工時に振動と騒音が発生する。
2)塩化ビニール系シート
シートを接着剤で貼るだけなので施工性に優れており、複雑な形状や狭い場所で、シート同士のジョイントがたくさん発生した場合でも、シート同士を熱風で溶かして一体化できます。
既存の下地があっても、下地調整がほとんど必要ありません。
紫外線・熱・オゾンに対し優れた耐久性を持ち、耐候性に優れていて、鳥害も受けません。
高い伸縮率と耐摩耗性を持ち、保護層無しで軽歩行が可能です。
また意匠性に優れ、色や模様がプリントされたシートなどもあります。
「接着工法」と「機械固定工法」があり、後者では下地が湿潤状態でも施工が可能です。
<メリット>
① 合成ゴム系シートと比べると、耐久性が優れている。
② 施工しやすくて、軽量。
③ 燃えにくい。
④ 下地に施された既設の防水層に左右されず、上から被せることができる。
➄ 雨天の場合でも施工できるため、工期の短縮が可能。
⑥ 色柄のついたシートもある。
<デメリット>
① 合成ゴム系シートと比べると高価。
② 合成ゴムシート同様、下地が平らである必要があるため、複雑な形状には不向き。
③ 工法の種類によって施工時に振動と騒音が発生する。
【シート防水】で用いられる工法
① 密着工法
専用の接着剤で施工箇所とシートを接着する工法です。
通気性は無いので、まだ雨漏りしていない箇所向けです。
接着剤を使用するため、施工箇所を十分に乾燥させる必要があります。
② 機械固定工法
専用の機械で施工箇所とシートを接着する工法です。
密着工法とは違い、施工箇所からシートの一部が浮いた状態になる工法です。
通気性を確保できるので、雨漏りしていても施工可能です。
シートを接着するための金具の固定の際に、ドリルを使う必要があるため、機械固定工法を行う場合は振動、騒音が発生します。
【シート防水】のメリット
【シート防水】は防水工事の中でも耐久性に優れています。
熱や紫外線に強く、防水性のあるシートのため、15年ほど長持ちします。
しかもその間ノーメンテナンスでもOKだそうです!
環境によっては20年何もしなくても大丈夫なケースがあるそうです。
【シート防水】は防水シートをまるごと被せてしまうので、既存の防水層が何であっても採用できる工法ということで、相性など考えなくて済みます。
また、防水材が既成のシートで厚さが一定なので、広い面積も一度にむらなく施工可能です。
【ウレタン防水】のように、液体の防水材を塗装する方法の場合、乾燥する時間が必要な上、職人の腕次第でムラが出てしまう恐れがあります。
効率よく、綺麗に仕上げるなら【シート防水】がおすすめです。
【シート防水】のデメリット
【シート防水】は、凹凸や固定されている物が多い箇所には不向きです。
なぜなら、防水材がシート状なので、複雑な形状の箇所を覆うのが難しいためで、シートの隙間から水が入り、施工後に漏水するおそれがあります。
複雑な形状の箇所への防水を、検討されているようでしたら、【ウレタン防水】も候補に入れた上で専門業者に相談すると良いと思います。
上記でも解説しましたが、機械固定工法を行う場合は、シートを固定する際のドリル使用により、振動・騒音が発生してしまいます。
工事前に近隣、入居者の方へのあいさつがトラブルを避けるためにも必須です。
スムーズに工事をするためにも、近隣、入居者の方への説明も丁寧に対応してくれる業者に依頼すると安心です。
他の防水方法との比較
㎡あたりの単価、耐用年数、工期についてまとめました。
種類 |
単価(㎡) |
耐用年数 |
工期 |
ゴムシート |
約2,500~7,000円/㎡ |
10年~15年 |
1~4日 |
塩ビシート |
約3,500~7,500円/㎡ |
10年~20年 |
1~4日 |
ウレタン |
約3,000~7,500円/㎡ |
10年~14年 (6~8年にメンテが必要) |
3~10日 |
FRP |
約4,000~8,000円/㎡ |
12年~20年程度 (7~10年にメンテが必要) |
1~2日 |
★【シート防水) まとめ ★
・【シート防水】の素材は「合成ゴム系シート」と「塩化ビニール系シート」がり、それぞれ特徴がある。
・ シート防水で用いられる工法は「密着工法」と「機械固定方法」で、後者だと騒音・振動が発生する。
・【シート防水】は凹凸や固定されている物が多い箇所には不向き
・ 防水材が既成のシートで厚さが一定なので、広い面積も一度にむらなく施工可能.
・ 初期費用がかかるが、他の防水工事よりメンテナンスが少なくて済む
ほかの防水工事に比べて、定期的なメンテナンスをしなくて良いというのは、大きいメリットですね。
防水処理は耐久性が向上するだけではなく、住み心地も良くなると言われています。
ご自宅に防水処理を施せば、よりいっそう快適な環境、生活を手に入れることができると思います。
これを機に防水処理を検討してみてはいかがでしょうか。
御覧いただきありがとうございました。
前の記事へ
« 「防水」と「撥水」の違い