ベランダの防水シートの貼り方は?防水工事の種類やシート防水のメリット・デメリットも解説
ベランダの防水シートの貼り方は?防水工事の種類やシート防水のメリット・デメリットも解説
大切な住まいの状態をよりよく保つために必要な工事の1つが、防水です。
ベランダの防水工事は雨水などの侵入を防ぎ、住宅の劣化を食い止められます。
防水工事の方法はさまざまで、その1つが防水シートです。
今回は、防水工事の種類やベランダの防水シートの貼り方を解説します。
ベランダの防水工事の種類と費用相場
ベランダ防水シートの貼り方を知る前に、防水工事の種類を見てみましょう。
ベランダの防水工事は大きく3種類あり、それぞれ費用相場が異なります。
■FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維強化プラスチックを使用する防水方法です。
高い強度と耐久性が特徴で、屋外で歩行の多いベランダの防水工事に適しています。
施工後のメンテナンスも比較的簡単で、長期間効果を持続できるのもメリットです。
しかし、FRP防水は専門的な技術が必要な工事なので、対応している業者は非常に多いわけではありません。
また、コストもかかるので、予算面で諦めてしまう人もいるようです。費用相場は1㎡あたり4,000~8,000円となっています。
■ウレタン防水
液体のウレタン樹脂を塗布・硬化させるウレタン防水は、施工が簡単でコストもFRP防水より安価なのが特徴です。
細かなひび割れなどにも対応できるので、多くの住宅のベランダ防水に使われています。
しかし、紫外線にあまり強くないため、長期間日光が当たるベランダにウレタン防水を施した場合は、定期的なメンテナンスが避けられません。FRP防水よりも耐用年数は短めですが、メンテナンスを怠らなければ、長期間使用できます。
費用相場は1㎡あたり3,500~7,000円となっています。
■シート防水
シート防水は、ベランダ表面に防水シートを貼る方法です。
防水シートの素材は塩化ビニールやゴムが多く、耐久性や柔軟性に優れています。
シートを貼るだけなので、広いベランダや大規模な補修にも対応しやすいです。
FRP防水、ウレタン防水と比べて施工は簡単ですが、シートの接合部分の処理が甘いと雨水が侵入してしまいます。
経験や実績がないと、防水効果が得られないのは注意したいポイントです。費用相場は1㎡あたり4,000~8,000円となっています。
シート防水のメリット・デメリット
防水性能のあるシートを貼ってベランダを守るシート防水は、前述の通り塩化ビニールとゴムの大きく2種類があります。
トップコートで表面を保護しなければいけないゴムシートよりも、厚みのある塩化ビニールシートのほうが多く採用されています。
ここからは、主に塩化ビニールシートによるシート防水のメリット・デメリットを解説します。
■シート防水のメリット
ベランダのシート防水には、以下のようなメリットがあります。
- 紫外線や熱に強く、耐久性が高い
- 広範囲の施工でも、品質を保てる
- 工期が短い
- 異常を見つけやすい
- トップコートの塗り替えが不要
塩化ビニールは紫外線や熱に強いので、日光にさらされるベランダに防水シートを貼っても、その効果を持続しやすいです。
また、既成のシートを貼るだけなので経験を積めば簡単にでき、広範囲の施工でもムラがありません。
ウレタン防水などの施工は、施工範囲や天候などによって3日から10日程度かかりますが、シート防水は最短1日で完了するのもメリットです。長くても4日ほどで終わります。
さらに、シートのすき間から雨水などが侵入した場合に目視で異常を発見できる、その他の防水方法で定期的に行わなければならないトップコートの塗り替えが不要なのも、シート防水ならではの利点だといえるでしょう。
■シート防水のデメリット
メリット豊富なシート防水ですが、次のようなデメリットもあります。
- 複雑な形状のベランダには向かない
- 凹凸がある床には施工できない
- 施工中に騒音が発生する
- 15年程度で全交換が必要
- 継ぎ目から水が浸入する可能性がある
既成のシートは形が決まっており、複雑な形状のベランダの場合は形を合わせるなどの加工が必要になります。
施工が大変になるので不備が起こったり、費用が上がったりするかもしれません。また、床に凹凸がある場合はシートがうまく吸着しないので、シート防水はできません。
シート防水は、シートを固定するための金具を取り付ける際に騒音が発生します。
工事中の音やにおいは近隣への迷惑になることもあります。
さらに、塩化ビニールは寿命が近づくと劣化が進みやすいので、15年を目安にすべてのシートを張り替える工事が必要です。
シートを貼るだけの簡単な作業ですが、継ぎ目から水が侵入すると防水の意味がないので、施工の際は高い技術を持つ信頼できる業者を選びましょう。
防水シートは自分で貼れる?貼り方は?
シート防水は防水シートを貼る「だけ」と聞くと、「自分でもできるのでは?」と思うかもしれません。
器用な人なら、防水シートを自分で貼ることができます。どのように貼るのか、必要な道具や貼り方を見てみましょう。
■自分で貼るなら「ゴム」の防水シートがおすすめ
シート防水の主流は塩化ビニールですが、自分で貼る場合はゴムのシートがおすすめです。
塩化ビニールは強度が高く、トップコートでの保護が不要ですが、ゴムより施工が難しくなります。
ゴムの防水シートは塩化ビニールと比べて強度は劣りますが、簡単に貼りやすく、正しく貼れば防水効果も得られます。
■必要な道具
ベランダに防水シートを貼る際に必要な道具は、以下の通りです。
- 防水シート
- はさみ
- 軍手
- ヘラ
- ローラー
- ほうき
- 変性シリコーンシーラント(コーキング剤)
- シーリング剤
- 全天テープ など
防水シートは「のり付き」と「のり無し」の2タイプがあります。
「のり付き」だと、接着剤塗布の作業が省けるのでおすすめです。
また、作業時は汚れてもよい服で行うことも忘れないようにしましょう。
■防水シートの貼り方
防水シートの貼り方を解説します。
①既存の防水シートがある場合は、事前に剥がし、ひび割れを埋めるなどの下地処理も行います。また、ほうきでベランダ表面の汚れを取り除くことも忘れてはいけません。
②準備ができたら、防水シートをベランダの形状に合わせて切ります。はさみを使って簡単に切れるものが多いです。「のり無し」のシートを購入した場合は、下地処理のあとに床面に接着剤を塗布します。
③切った防水シートを、ヘラやローラーを使って貼っていきます。「のり付き」の場合は台紙から少しずつ剥がし、シートの接着面同士がくっつかないようにしましょう。また、床とシートのあいだに空気が入らないよう注意してください。
④すべて貼り終わったら、シートとシートの境目にコーキング剤を塗布します。耐久性や耐候性などに優れた「変性シリコーンシーラント」がおすすめです。
⑤ベランダ全面にシーリング材を塗布します。コーキングした部分にも、上から塗布して防水や塗料の食いつきを向上させます。防水シートの端は、「全天テープ」で処理します。
⑥最後に防水塗料を塗って終了です。
ベランダの防水シートを自分で貼る前に確認したいこと
防水シートの貼り方がわかれば、自分で貼れると思う人もいるかもしれませんが、ベランダの状況によっては自分で貼るのが難しいこともあります。防水シートを貼ろうと思ったら、事前に以下の3点を確認しましょう。
- 床のコンクリートがむき出し
- すでにFRP、もしくはウレタン防水が行われている
- すでにシート防水が施されている
コンクリートがむき出しのベランダなら、防水シートを自分で貼れる可能性があります。
FRP防水、ウレタン防水が行われているベランダは、防水シートを貼るよりも上塗りの塗り替えがおすすめです。
すでに防水シートが貼られているベランダに、自分で貼り直すのは非常にハードルが高いです。
貼り方の手順で解説した通り、防水シートを剥がす作業から始めなければならないので、業者に依頼したほうがよいといえます。
防水シートを長持ちさせるなら業者に依頼を
自分でベランダの防水シートを貼れるケースもありますが、どのような状況であっても、業者に依頼するのがおすすめです。
知識や経験の豊富な専門業者なら、ベランダの床の状況を確認し、適切な防水工事を提案してくれます。
自分で防水シートを貼れば費用を節約できますが、道具をそろえて作業する手間がかかりますし、失敗すれば材料費を無駄にしてしまいます。業者による施工は、美しい仕上がりや高い防水効果が期待でき、ベランダのよりよい状態を保ちやすいです。
ベランダの防水シートの貼り方は、業者の作業工程に問題がないかを把握するための情報として、知っておくとよいでしょう。
ベランダの防水シートの貼り方はコツが必要!
ベランダの防水シートは、既成のシートを貼るだけで一見簡単そうですが、防水効果を永く保つためには貼り方のコツがいります。
自分で貼ると失敗してしまうこともあるので、専門業者に依頼して施工してもらいましょう。
塩化ビニールの防水シートによる防水効果は高く、耐用年数も15年ほどと長めです。
その他の防水方法の費用や効果とも比較しながら、ベストな防水対策を選択してください。
弊社でも、防水シートを使ったベランダ工事を行っています。ご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
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