【ソーラーパネル】ソーラーパネルの乗っている屋根のメンテナンス
『屋根にソーラーパネルが乗っているんですけど、それでも工事ってしてもらえるんですか?』
ご相談の内容は屋根塗装やカバー工法ですが、このような問い合わせが最近増えてきたと感じます。
また、これからソーラーパネルの設置をされる方にとっても、パネル設置後の屋根のメンテナンスは気になるところではないでしょうか。
◎屋根はいずれ本格的なリフォームが必要になります
まず始めに覚えて欲しいのが、屋根とソーラーパネルそれぞれの耐用年数です。
屋根材によって年数の差はありますが、スレート屋根は15年~20年、アスファルトシングルやガルバリウム鋼板だと20~30年と言われています。
そして、ソーラーパネルの耐用年数は30年と言われています。
耐用年数はあくまでも目安であり、この年数ノーメンテナンスで良いというわけではありません。
しっかりと覚えておいてくださいね。
屋根材がコロニアルの場合、10年に一度の塗装と、30年目には葺き替えもしくはカバー工法によるリフォームが適切だとされています。
その場合、屋根にソーラーパネルが設置されていると、一度ソーラーパネルを取り外してから塗装やカバー工法とと言った屋根リフォームを行い、工事が終わってから再び取り付けるという工程が加わることになります。
ソーラーパネルの設置業者は、ソーラーパネルの『販売』が目的です。
そのため、ソーラーパネル設置の際、屋根リフォーム費用についての説明が聞かされることがほとんど無く、見過ごされがちになってしまいます。
屋根材とソーラーパネルそれぞれの寿命から推測すると、ソーラーパネルを後付けで設置した場合、屋根の寿命が先に来てしまいますので、途中でどうしても本格的な屋根リフォームをする必要が出てくるということになります。
◎屋根リフォームはタイミングも大切
屋根材とソーラーパネルの耐用年数が違うと、どのタイミングで屋根リフォームをすれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。
タイミングとして考えられるのは、『設置前』か『屋根メンテナンスの時期』の2つになるでしょう。
コスト面でお得なのは『設置前』になりますが、設置後に行う屋根塗装やカバー工法のタイミングでも問題ありません。
それでは屋根塗装をする場合と仮定して、それぞれのタイミングや特徴について解説します。
①ソーラーパネル設置前の屋根塗装について
ソーラーパネルの設置を検討している場合の屋根は、まだ何も取り付けられていない状態です。
そのため、通常通りの屋根塗装をすることが可能です。
屋根塗装の前には、雨漏り箇所は無いか、野地板がソーラーパネルを設置するのに十分な強度を持っているかを確認してもらいましょう。
野地板には通常9~15mmの合板が使用されますが、ソーラーパネルを設置する野地板の条件として12mm以上の厚みを必要と定めているメーカーもあります。
『厚み不足』は『強度不足』と直結しているのです。
また、雨漏りについても同様です。
雨漏りの放置は劣化スピードを急速に加速させます。
雨漏り箇所が確認されれば、しっかりと雨漏り補修を行ってから本格的な屋根リフォーム工事に入りましょう。
②ソーラーパネル設置後の屋根塗装について
ソーラーパネルを脱着するタイミングであれば、屋根塗装工事をすることができます。
ソーラーパネルが設置されている箇所を除いて塗装をするという業者も存在しますが、その後の劣化状態に差が出てしまうため、おすすめは出来ません。
通常の屋根塗装で掛かる足場代と塗装費用に加え、パネルの脱着費用が必要になりますので、費用はどうしても高額になってしまいます。
◎雨漏りが心配な人におすすめしたい屋根リフォーム
ソーラーパネルを設置する前に、屋根の状態を心配される方もいらっしゃると思います。
『築年数が経過しているけれど、どの程度劣化しているんだろう。このまま載せても今後大丈夫かな。』
『ソーラーパネルを載せて、雨漏りは大丈夫かな』などと、簡単に見えない部分なだけにそう思われるのも当然です。
このように、屋根の劣化や雨漏りが心配な場合は、設置前にカバー工法や屋根葺き替え工事をしておくと安心でしょう。
カバー工法とは、既存の屋根の上から新しい屋根材で覆う、屋根が二重になった状態になる工法です。
ただしカバー工法をするには、ある程度の条件を満たしていなくてはなりません。
劣化が酷く、屋根の下地材まで傷んでいる場合は、カバー工法はできません。
その一方で、屋根葺き替え工事は屋根材だけでなく下地材も全て新しいものに交換しますので、屋根内部の劣化も修復することが可能です。
設置前に屋根工事をおすすめする理由として、工事中は発電できなくなってしまうこともありますので、そのデメリットを回避するという意味合いも持っています。
まずは専門業者に屋根の状態をしっかりと見てもらい、それからソーラーパネルの設置を行いましょう。
◎ソーラーパネル設置後のメンテナンスで生じる影響
ソーラーパネルの設置後に屋根のメンテナンスを行うと、工事費用や塗装作業に影響が出てしまいます。
具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
設置前に押さえておくことで、よりお得になるメンテナンスの方法を検討していきましょう。
①屋根点検・野地板の強度について
屋根には定期的な塗装が必要です。
塗装をすることで、劣化を防ぎ、屋根本来の機能と役割を保つことができるからです。
しかし、ソーラーパネルが設置されている屋根の場合、一度取り外してから塗装やその他工法のメンテナンスをしなくてはいけません。
その場合は、ソーラーパネルの移設費用(脱着費用)として、約20万円程度が余計に掛かることになります。
屋根のメンテナンスを必要とするのであれば、設置前に済ませておかれることをおすすめします。
特にソーラーパネルを設置したい面に、既に傷みが見られるようであれば、既に雨漏りをしている可能性もありますので、事前にしっかりとした補修をすることが重要です。
②ソーラーパネルを載せたままでは全体塗装が出来ない
『ソーラーパネルの設置部分は雨や風などの自然からの影響を受けないだろうから、メンテナンスしなくてもいいんじゃないの?』と考えている方が多いようですが、それは大きな間違いです。
実際には、ほこりなどのゴミや汚れが溜まりやすく、メンテナンスをしなければコケが生えてくることもあります。
そのためソーラーパネルの設置前には屋根の状態を確認し、現状に合ったメンテナンスをしておかなくてはなりません。
◎ソーラーパネル設置前と設置後のメンテナンス費用を比べてみましょう
ソーラーパネル設置前と設置後のメンテナンス費用には、どれくらいの差が出るのでしょうか。
『屋根塗装をする場合』の、設置前と設置後の費用を比較してみましょう。
尚、条件としては住宅は築10年、太陽光発電の耐用年数は30年、屋根塗料の耐用年数は15年として考えています。
①設置前に塗装する場合
1回目の塗装費用:約40万円(設置前)
2回目の塗装費用:約30万円(設置してから15年後)
トータル費用:約70万円
②設置後に塗装する場合
1回目の塗装費用:約60万円(設置してから5年後)
2回目の塗装費用:約30万円(設置してから20年後)
トータル費用:約90万円
ソーラーパネル設置前に屋根塗装をすると、1回目の塗装は屋根の上には何も乗っていない状態になりますので、当然ながらソーラーパネルを取り外すこともありません。
ソーラーパネルの脱着には約20万円程度の費用が掛かりますので、その差がトータル費用の差になっています。
◎ソーラーパネルの載った屋根リフォーム費用が高額な理由
ソーラーパネルの設置後に屋根リフォームをすると、どうしても工事費用が高額になってしまいます。
それは、工程の中でソーラーパネルの脱着があるからです。
屋根材がコロニアルの場合のリフォーム方法としてスタンダードなのは、既存の屋根材の上から新しい屋根材を被せる工法です。
この工事を行う際は、ソーラーパネルのを取り外しを行わなくてはいけません。
ソーラーパネルの脱着を伴う屋根リフォーム工事は、パネルを取り外す費用、工事が終わってから取り付ける費用、新しい屋根に合った専用架台や金具の交換取り付け費用などが工事費にプラスされることになります。
一度設置されたパネルを外すわけですから、新規に設置するとき以上に手間が掛かります。
また、ソーラーパネルは1枚10kgを超える、大変重いものになります。
傾斜があり、コケなどが生えている屋根の上は、足元が非常に不安定になりますので、その分作業も十分な注意が必要です。
大型のソーラーパネルの場合ですと、敷地内に置き場を確保することが出来ず、工事期間中はやむを得ず、トランクルームで保管しなくてはならないケースもあります。
大量のパネルを設置されているお宅では、脱着費用だけで数十万円になってしまうことも。
このような理由から、費用が高額になってしまうのです。
また、ソーラーパネルには、最低で10年、メーカーによって20年の保証が付いていますが、屋根リフォームのために外してしまうと、メーカーの保証が切れてしまう事がほとんとです。
◎設置後の屋根リフォームはどこに依頼すべきなのか
ソーラーパネルを設置してからの屋根リフォームは、どこに依頼すると良いでしょうか。
どこに依頼をすれば良いのかわからないから、ひとまず設置業者やメーカーに問い合わせをされるという方が多いようです。
しかし、設置業者は『ソーラーパネルを設置すること』が専門分野であり、メーカーは『ソーラーパネルの販売』が専門分野であって、『屋根のリフォーム』は全く別分野の工事になります。
設置業者やメーカーに依頼しても、最終的にはリフォーム専門業者に依頼をすることになってしまいます。
そうなれば、工事費用の中に仲介料が加算されますので、提示された見積書の金額を見て驚かれる方も多いようです。
そこでおすすめしたいのが、『分離発注』です。
分離発注とは、リフォームしたい場所や設備に分け、それぞれ専門分野の施工会社に発注をするという方法です。
つまり、屋根リフォームでしたら、屋根リフォームを専門とした業者に依頼をすると良いということになります。
昔と比べてインターネットが普及した現在は、どの施工会社がどの分野の工事に強いのか、どれくらいの施工実績があるのかなど、簡単に調べることが出来るようになりました。
地域とリフォームしたい箇所を検索ワードに掛けて検索をすれば、目的に合った業者が見つかるはずです。
◎分離発注のメリット
ソーラーパネル設置後の屋根リフォームはどこに依頼をすべきかというところで、分離発注をおすすめしました。
この分離発注には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
①直接契約のため工事費用を抑えることができる
ソーラーパネル設置業者や、販売業者を通すことなく、直接問い合わせをしてやり取りをし、契約することが出来ます。
このことで余計な仲介費用が発生せず、全体のコストダウンに繋がります。
②知識や経験が豊富にあるため、適切な工事ができる
屋根工事や屋根リフォーム専門の施工会社には、様々な事例に合わせた施工経験があり、それだけの知識も豊富です。
建物の状態に応じたベストな工事方法を提案してもらえることが出来ますし、工事内容や見積内容についても、納得の行く説明を聞くことができるでしょう。
③万が一の時に迅速な対応が望める
業者と直接やりとりができるということは、何か不具合や災害による事故が発生した場合にも、迅速に対応してもらえることに繋がります。
連絡をしたまでは良いけれど、対応までに時間が掛かったり・・・ということは少ないはずです。
近年、大型の台風や積雪などにより、緊急に補修しなくてはならないことが増えています。
そのような際も修理までの見通しが早くつき、修理までの時間も短く済みますので、不安も解消されます。
◎まとめ
インターネットでの情報の多くは、メーカーや設置業者からの目線によるものが多いですね。
そうすると情報が偏りがちになり、設置してからの屋根リフォームまで辿り着く前に、調べるのを止めてしまったということも多くなります。
ソーラーパネルの設置を検討されている方も、既に設置をされていて、その後のメンテナンスについて知りたかったという方も、是非参考にしていただきたいと思います。
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